其の28「テンサイ・リターンズ」

先々週の日曜日、約1年ぶりに風邪をひいてしまいました。
みなさんの風邪はどこから?わたしはノドから。
扁桃腺がパンパンに腫れ上がり、医者が見事だと毎回言います。
いや、そんなもの見事でもしょうがないですよ。
ちなみにこうなると大変。40度近い熱が2・3日続きます。
あぁ、意識が遠のく。なんどやっても慣れません。
事故みたいなもので、いきなりひいてしまうのです、いつも。
そんなわけで前回はおやすみ。告知も無しにすいません。

さて、今回の文章を考える前に、1年前の娯楽処のログを確認しておりました。
すると去年も北海道に大地震があって、世の中に激震が走っていたようです。
なんか寒い地方の人が凍えない寸前の時期に嫌な事するもんです。神様も。
しかし新潟の方々にはお気の毒です。
台風がきたと思ったら、今度は大地震、しかも何度も。
きっと眠れない日々をお送りの事でしょう。少しでも早い復興をお祈りします。


「花とアリス」 岩井俊二監督 2003年


さぁ芸術の秋、というか、もう寒くて早くも冬の匂いがしてきていますが、
芸術性の高い話はあまり好みじゃないれいじなので、
よりエンターテイメントの中に芸術を感じられるものという事で。

しかし岩井俊二という監督は天才です。
この作品をみて改めて実感しました。本人はこんなこと言われても迷惑なだけでしょうが、
あえて書き記します。天才ですよ。
この作品は当初、某お菓子ブランドのホームページで流すショートフィルムが始まりで、
それを劇場用長編にまとめたもの。
全編デジタルビデオで撮影されており、
編集もおそらくはマックのファイナルカットで行われていると思います。
つまり学生が自主映画を撮っているのとあまり大差ない機材で行われているということ。
まぁカメラは高いですが。そのカメラ、なんか違うんだよね、
彼が撮影すると。なんか綺麗。なんかフィルムっぽい。どうしてだろう。
多分、メーカーと一緒に開発から色々お願いしたりしてるとは思うんで、
参考にはならないと思うのですが、
やはりその美しさには目を見張るものがありますね。
あと、女性を描くのが本当に上手ですね。というか女性的なんでしょうね、嗜好が。
よく少女漫画っぽいと揶揄される事がありますが、分かる気はします。
会話のやり取り一つとっても、機微があるというか、
よくわかってるなぁと男なのに感心します。
そしてなんといっても、この監督の作品には、
あぁ、このカットがやりたかったんだぁ!というシーン、カットが必ずあります。
今回の作品もしかり。
劇場版でしか無いカットなので、ショートフィルムしかみていない方、必見ですよ。

ラストのシーンタイトル「アラベスク」。
主演の一人の蒼井優が、クラシックバレエを踊るシーンがあるのですが、
美しいの一言です。実際に本人が2歳の頃から習い続けている特技だそうですが、
一瞬、自分の子供が女の子だったら習わせよう!と思ったほど。まさに芸術!

なにかと天災の話が多いですが、明るい天才の映画で、残り少ない芸術の秋を。
改めて、被災された方が、この作品を見る余裕が少しでも早く訪れますように。


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