第59回 「ひとの不幸は」
蜜の味。とは、よく言ったものです。
先週のハナシ
が、異常にウケていて、
ウレシイんだか、カナシイんだか、ニホンコンです。
(ちなみにコレ、ニホンコンです)
そうそう、モンゴルから無事帰ってきた、その後の旅の話というと
「死ぬほど長い汽車の旅」で、シルクロードの旅に出かけました。
シルクロードというのは、中国からずーっと西につながる道で、
インドやパキスタン、あちら側につながり、東西の貿易で欠かせない、
重要な道だったのでありました。
顔も文化もだんだん異なっていき、果てのほうになると顔はトルコ人、
宗教はイスラム教。食べ物はナンとシシカバブ、
話す言葉も書く言葉も違うけど、一応「中国人」というオカシナところにたどり着きます。
さて、中国の旅というと、重要な足となるのは「火車(汽車)」。
中国全土、どこまでもどこまでもいけるので、移動はほとんどコレ。
ただ、数時間くらいで着くものもあれば、北京フフホト
(モンゴル自治区の都市)までは12時間などとさまざま。
車両のランクは3つあって
硬座:カッターイ椅子で、ガタンゴトン。
硬臥:カッターイ寝台列車、上中下が選べる。
軟臥:やわらかい寝台列車、4人1部屋のコンパートメントになっている。
ここで一緒になる中国人は、かなりの上流階級。
(一番安い「硬座」車両。本当に硬いイスなのです)
ニホンコンたちは、硬臥を取って、いざ。中国で最長かつ最苦と言われる
「4泊5日」の火車の旅。目指すは新彊ウイグル自治区の都市、ウルムチ。
途中に有名な「西安」や「敦煌」などを通る路線なのですが、
一気に果てまで行ってから、戻りながら寄って行くという旅のスタイルに。
どうやって乗り込めばよいかというと、大きな町では、
駅に行って切符を買えば問題ありませんが、途中の辺鄙な町で買おうもんなら、
もう1日がかりの押し合いへし合い大会になってしまいます。
また、食環境は都会から離れれば離れるほど悲惨になるので、
乗り込むときに最後までの食料をつむのが主流。もう、のっけからすごい人と荷物!!
途中の駅でキヲスクがあるわけでもなく、美味しいその土地土地の駅弁が食べられるわけでもなく。
駅弁なぞは「あることはある」のだがが、1食たかだか90円から
150円くらいのぶっかけ飯の味なぞ、
美味しくない事は値段と見た目でよく分かった。(ちょっとこれは食べられず)
4泊5日、何をしていたかというと、
「ひたすら食べる」
もう、これしかナイのです。
そしてニホンコンはこの汽車内で4キロくらい太って、下車することになる。
だって、やることが全くナイのである。
しかも、寝台列車の上、中、下のようになっている寝床兼イスは、
下を取ったニホンコンの負け。日中は上の人たちがドヤドヤおりてきて、
寝てようがなんでようが、そこにズカズカと座り始め、朝からモグモグと一日中食べ続け、
大声で喋りまくるという、中国人パワーに押されまくるのである。
そして、その隣の通路では小さなマットを広げて、
1日3回お祈りを捧げる、敬虔なイスラム教の方たち。
もう、ぐっちゃぐちゃで始まる汽車の旅。13億のオセッカイな中国人は、
私が中国語で書いていた日記をグイグイ覗いて、丁寧に(?)添削してくれ、
おまけに中華人民共和国の国歌を歌えるように、と歌詞を書いてくれる。
乗って半日で「降ろしてくれ!」と叫びたくなる、ウザい汽車の旅。
もっと悲惨なことが起こるのは、2泊目以降でした。
(日記:ほとんど赤が入っている、ニホンコンの中国語日記)
(国歌:立ち上がれ〜から始まり「前進前進前進」と、軍歌そのもの)
6月22日 坂下日本/香港
Kaori Sakashita
Presents [ サカシタニホンコン ]
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