第12回
とどまって まなぶと いうこと
中国居留証
久しぶりの中国記です。
前回
書いたのが各方面から好評で、
一瞬このままこれで走り抜けてしまおうかと思ったけど、
サカシタニホンコンは思い出の貯金だけで生きていきたくないので、
これも挟みつつ構成していきたいと思います。
今日は、サカシタニホンコンが、
96年から97年にかけ、北京に留学していた時の話をしたいと思います。
公安
「留学」
なんてスバラシイ響き。
異国の土地で、その国の言葉を勉強しながら、現地の人々と友好を深める。
しかも、よその国から来た外国人の若者たちと過ごす、フレンドリーな寮生活。
グローバルで、アカデミックで、ダイナミックな生活。
が待っている。
て、思ってた。
ま、実際そんなステキな留学生活をした人も、いるかもしれない。
ただ、私は違った。残念ながら。
なぜなら、「ものすごく大変だった」からだ。
留学するというのは、読んで字の如し、「とどまって まなぶ」なので
1、知らない単語に出会う
2、なんだろうと調べてみる
3、授業でそれを使って文章をつくる
4、勉強という意味あいで、一旦記憶される
5、外でもう一度使ってみる
6、自分の言葉として、記憶される。
という、「作業」の連続なのである。ほんと、作業なのよ。言葉を覚えるのって。
東京で語学スクールに通うのと、唯一違う点は、5番と6番がないこと。
ただ、それだけ。(でもその差はデカイんだけどね)
「留学」
なんてスバラシイ響き。
その日に学んだ単語が
教室を出たその一歩目から
活躍できる環境にあるなんて。
と、ニホンコンの認識が変わったのはいうまでもない。
ニホンコンが通っていた「北京師範大学」というところは、
いわゆる教育大学のようなところ。そこの留学生別科に通っていた。
「教育には熱心」というキャッチフレーズより、各国からも、
比較的まじめな生徒が集まっていたと思う。
ニホンコンが通っていたクラスは中級クラス。
変な話だが、15人中、日本人が12人、韓国人が3人、アメリカ人1人、
以上。
これを「ゲー」っと思う人もいるかもしれないが、ゲー以上にゲーなのが
みんなものすごい勉強家だったことだった。
寮でクラスメイトにあって、おしゃべりしていても「あ、宿題と復習しなきゃ
じゃあね〜」といって慌てて別れる。
しかも、韓国人のクラスメートは、もっと熱心なもので、さっきの6番の次に
7、それを次の日の授業で使う
ということで、中国語を確実に自分のものにしていた。
毎日難しい言葉で話かけてくるもので、
1つでも解らないと「もう!そんなのも復習してないワケ?」と、
教科書の「欄外」にあるような単語を指さしてくる。
かないませんでした。流石に。
当時の恩師
事実、ニホンコンは先生に呼び出されたことがあり、
「毎日何時間勉強しているの?」と詰め寄られ、膨らめて膨らめて「4時間」といったつもりなのだが
「太少!」(すくなすぎ!)
と、怒られた。「みんなはもっとやっているのよ」と。
留学生活も後半に差し掛かると、その勢いに拍車がかかり、
もうこれはなんかのレースの最終コースを曲がる瞬間みたいになっていた。
勉強する内容のレベルもあがってきたというのもあったと思うが。
留学生同士で、班を2つに分けて「1人っ子政策に賛成か、反対か」みたいな激論大会なぞ、
行っていたような授業だった。教育面、政治面、家庭面、経済面、総合、と、
1人1つの論文を発表しあい、イエスだの、ノーだのかわしたのだ。
テスト前なんて、壮絶たるものだった。
毎日全員寝不足状態、受験前の予備校生みたいだったし。
アメリカ人の女の子なんて、勉強しすぎてトイレで倒れたり。
よく考えると、おぞましいよなあ。
ただ、後半のニホンコンは、きちんとその「お勉強レース」に参加してました。
それが、意味のある留学だと、思っていたから。
実際このようなお勉強留学生を1年間やってみて、
言葉は勉強しないと、身に付かないと実感した。
住みはじめて2ヶ月もすりゃ、誰だって買い物も、日常生活もできると思う。
半年も経てば、自分の思ってることを相手に伝えることも、容易なものになると思う。
ただ、確実に自分の脳みそに「外国語」という部屋を作ってあげるのは、
それ以降行う「デスクワーク」抜きにしては、考えられないと思う。
サカシタニホンコンは、これだけ苦しかった北京の留学を、してよかったと思う。
あの時があるからこそ、中国語をちょっとでも喋ることができる、
と自信を持って言えるような気がする。
ただ、残念なことが2つ
卒業式の時にもらった通信簿で
「会話の授業は抜群の発表と、文章の構成でクラスを引っ張っていましたが、
発音があまりにも悪いのと、他の授業でのテストの成績がよくないのが気になります」
っていうのと
今よりも15キロ太っているので、当時の写真を添付できないっていうこと。
この話はまた今度。
6月24日 サカシタニホンコン