私は今、大泉洋に恋をしているようだ。
水曜どうでしょうで彼を見かけるたびに、目がハートになってしまう。
これは間違いなく恋というべき現象だ。

以前から彼の番組を好んで見ていたが、恋に落ちたのにはきっかけがある。

TBSで金曜深夜に放送されているR30という番組をご存知だろうか。

先日その番組に大泉洋が出演した。

彼の幼い頃のエピソードや北海道の話など、いつもの調子で
おもしろおかしく語ってくれた。

中でも一番興味深かったのは、やはり「水曜どうでしょう」での裏話である。

車でヨーロッパ21カ国を制覇するという企画でのエピソード。
移動時間が深夜に及び、ホテルをとることが出来ず遂に野宿をすることになった。

メンバーはいつもと同じでカメラマン・ディレクターのスタッフ2名と
大泉洋・鈴井貴之のタレント2名。
2名がテントで残り2名が車で寝ることになった。
普通で考えれば、暖かくて寝やすい寝袋とテントの方に
タレントを寝かせると考えがちだが、
そこは「水曜どうでしょう」である。
必然的にテントがディレクター陣になり、車がタレント陣になるわけである。
9月といっても場所は北欧。
「寝たら死ぬ」という寒さである。
しかも例のごとく出発前に行き先を知らされていなかった大泉洋は
Tシャツ・短パン・サンダル姿。

仕方なくネタで持ってきた王子様の衣装を着るが、
ぺらぺらの生地のうえに白タイツと防寒にはならない。
とにかく凍えながらも車で寝るタレント陣。

翌朝。

ディレクター陣がカメラを回して車に近づくと、体を丸めて、
恨めしそうにこちらを見ている大泉洋がいた。
「寒いなーと思って見たら窓開いてるんだもの。藤村君(ディレクター)、
君鍵持ってったでしょ。」
大爆笑するディレクター陣。

この時、大泉洋は「起こしたら悪いと思って、鍵を取りに行かなかった。」と
話していたが、R30で真相を語ってくれた。
あまりに寒くて目が覚め、窓が開いていることに気付いたが、
このまま丸まって凍えていれば面白い画が撮れると思ったと。
ディレクター陣は必ずカメラを回して出てきてくれるという信頼があったから、
ひたすら待っていたと。

このひたむきなまでのプロフェッショナル、そしてメンバーの確固たる信頼。
この二つがあるからこそ、これほどまでに人々を魅了する番組を作れているに違いない。

そして面白い画を撮る為に、寒さに耐えて丸まっていた洋さんを思い、私は恋したのだ。


千田なつみ Presents [ 笑い道]
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