少しお休みを頂いていたが、その間よく泣いていた気がする。
もちろん良い涙だ。

空気公団のライブに行って、その空間のやさしさに涙し、
夫に薦められて読んだ、漫画・ワンピースのチョッパー編を読み、その迷いのない言葉達に涙した。

中でもお笑い好きの私にとって涙せずにはいられない出来事があった。


松本人志がハイロウズを好きなのは知っていた。
だからCMやジャケットのデザインをしたりしているのだろうと思っていた。
しかし、この2組にはもっと深い繋がりがあるのだと夫に教えてもらった。


ハイロウズのVo甲本ヒロトは自殺しようとした事があったらしい。
その日は日曜日だった。
自殺しようとしたその夜、ちょうどテレビをつけており、「ガキの使いやあらへんで」が流れていた。
なんとなくそれを眺めていて、甲本はつい大笑いしてしまった。
そして思ったのだと言う。
「まだこんなに笑えるのだから、死ぬのはやめよう」と。
そして出来た歌が「日曜日よりの使者」なのだ。

まさに死のうと思っている人間を笑わせられるとは、なんとすごい芸人なのだろう。
人の命を救えるお笑いはなんとすばらしいのだろう。
そして「笑う」という行為の癒しの力はなんと偉大なのだろう。

私も落ち込んでいる時、何度となくダウンタウンに救われた。
彼らの芸を何度朝まで見続けたことか。

この話を聞いた夜は、とめどなく涙が溢れ出た。


私にとってダウンタウンは芸人の神様である。
しかしながら、人間とは貪欲なものである。
最近お笑いを観るとき、心のどこかで新たなヒーローのつぼみを探してしまっている。
そのヒーローが、ダウンタウンという絶対的な神を打ち破ってくれることを期待しているのだ。
そろそろ、そんなつぼみが出てきてもいい頃ではないかと思っている。
ダウンダウンもそれを願っているのではないだろうか。
「リンカーン」を観ていると、そう感じるのだ。

もしかしたら、私はダウンタウンが引退してしまうその時が怖いのかもしれない。
彼らは私の人生の中で、あまりにも大きな存在であるから。



千田なつみ Presents [ 笑い道]
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