ちょっとおかしい人だなというのは薄々感づいていた。
私の夫の話である。

お笑い好きだからと言って、四六時中お笑い番組ばかり見ているし、
時々自分のことを「おいら」と呼ぶ。
カラスがうるさくて眠れないと、暗がりの中、
窓辺に立ってカラスにガンを飛ばすが、
でも鳥は大好きで、昔飼っていたインコに「トリ」と名づけていたらしい。

何か少し世間とずれているなと思っていたが、
私も元来あまり物事を気にする性質ではないので
あえて指摘したりはしなかった。
が、こうしてよくよく普段の行動を思い返してみると、
我が夫ながら不思議な人である。

そんな夫のずれポイントをあえて指摘してみたくなるような
傑作コントを見ることができた。
バナナマンの新ネタである。
見た後に爽快感が生まれるほどに笑わせられたネタは久しぶりである。
とても嬉しい。

どこか世間ずれしている設楽の言動を日村が「ずれポイント」と称して
指摘していくというコントである。
テンションが上がると、ずれている彼は
女性を「女人(にょにん)」と呼び出すらしい。
その他にも、何とも言えず笑ってしまうような
微妙な感覚のずれポイントを指摘していく。
ずれた設楽はもちろん面白いのだが、
己の感覚に絶対の自信を持って、ハッスルしていく日村も相当面白い。

私も日村のように、まっとうな感覚を持ち続け、
夫のずれポイントに流されない嫁になりたいと願う。
このままでは、そのうち私も自分のことを「余は」などと呼び始め、
子供に至っては「我輩」なんぞと呼び出してしまうかもしれないではないか!!
末恐ろしいことである。

このコントに刺激を受け、私の中でバナナマンブームが再燃した。
勢いに乗ってTSUTAYAに駆け込み、「pepokabocha」を借り、早速見るに至った。
よくできたバナナマンらしい作品で、余は大変満足であった。

彼らは彼らにしかない世界を持っている。
その世界の感覚は、新しい季節のおとずれを匂いで感じとるくらいに
曖昧で、しかしながら記憶を刺激する。

彼らの良さは文字にはし難い。
だがこの文章が、彼らを愛する人の記憶を少し刺激するものに
なっていたらそれで良い。

千田なつみ Presents [ 笑い道]
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