第110回「PP島」
スカッとしない天気が続きます。
そんな天気の上に少しだけ仕事を
していたので、ここんとこ日がな一日
家でPCに向かう生活。
このヤマが終わったら夏は遊ぶのだ。
さて、旅の続きの話を。
「人の不幸は蜜の味」
坂下日本/香港を始めて一番思うのはコレだ。
ヒトが悲惨な思いをしている回に限って
「いやー面白かったよー」というメールが沢山届くのだ。
まあ、こうして笑ってしまうことで
旅の恥も浮かばれると思っているからいいんだけど。
さて、しょんぼりしたまま、PP島に付くニホンコン。
青い空、白い砂浜。
そして「ヒモパンのミニビキニ」
あああー、憂鬱極まりないこのPP島。
「当時の日記に書いていたミニビキニの絵」
罰ゲームかと思うよ、こんなヒモパン。
ただ、そんなどんよりのニホンコン。
これで終わってはいけないと、ここはひとふんばりする。
こんな気分を一掃するのは、もう自分で自分を盛り上げる、
「自家発電」以外方法はない。
ここに至るまで、イケる!と思ったり
恥ずかしい!と思ったり、しょんぼりしたりするのは
全てニホンコンの気持ちひとつであって、
私さえ元気になれば、オーライなワケじゃん!と。
一人旅は、結構こういった
自問自答と自己嫌悪と自画自賛の
繰り返しだとおもう。
自分でテンションもあげられずに
旅なんか続けられるかー!と、ここはひとつ
「開き直り精神」で行くことにした。
もう、これさえ身につければ怖くない。
リゾート気分いっぱいで来たのに
たかがダサ・エロ・ミニビキニひとつで落ち込んでるようじゃ
女ニホンコンがすたるわよ!!
というわけで
ここはひとつ「堂々とする」ことに。
そうなるとニホンコン、気持ちも明るくなる。
そして、
バ・バーン!と小ちゃな水着を身に纏い、
タオルを一枚くるりと巻いて海辺へ向かう。
そこで、バ・バーン!とタオルを取って
パタパタと真っ青な海へ小走り。
(あまり走るとずれるのでここでも小走り)
ここで思いついたセオリーは
「恥ずかしいのも堂々としてればそれがスタンダード」。
なんです。
いじめられっこはいつもビクビクしてるから
いじめられるように、こっちがコソコソしてるから
ヒューヒューもされるんだよ!と。
ここはもう、あたかも毎日それで暮らしてる人
みたいな顔してウロウロしてれば
それが日常だと思うだろうよ。
ニホンコンはそんな気持ちでチャプンと海に入り、
スイスイ泳ぎ始める。
小さな水着でグイグイ泳ぐと、裸で泳いでるような気分。
(ヒモパンで泳いだことある人なら絶対分かるこの気持ち)
そのまま陸に上がり、砂浜でゴロンと寝そべったまま、
グウグウ昼寝をする。
PP島は嘘みたいにキレイなビーチ。
楽園と呼ばれるに値する、秘密の場所みたいだった。
「ビキニの女性はニホンコンではありません」
ジロジロ見る奴なんか、おもいっきり無視してやった。
ヒューヒュー言う奴なんかには、
軽く手を振って答えてやったわよ。
一旦開き直ると、あとは楽しいリゾートライフのみだった。
ただ、秘密の楽園、PP島。
人も少なくてのんびりしてて
すごくいいんだけどさ、
なんか静かすぎないか?と、ふと思う。
地図も持たないニホンコンは
後々気づいたのだが、
どうやら乗った船を間違えたようで
PP島の「裏の裏」に来てしまったようだ。
メインのビーチは
カフェやコテージが立ち並び、
白人さんが沢山集っていて
陽気な雰囲気が漂う「リゾート!」なのだが、
私の連れて行かれた(というか乗り違えた)ビーチは、
オンボロの宿5棟ほどと
7時に閉まるレストランが1つしかなかった。
海に来ていた人たちも、
メインのほうから船でやってきて、
夕方にはまたメインに戻る人たちばかりで
昼間はにぎわうものの、夜になると人っこ一人いなくなる。
そのエリアに泊まってる人なんか
ニホンコン入れて3人くらいしか居やしない。
よく言えば静か。
悪く言えばものすごく寂しい。
それから毎日。
6時にはそのレストランに行き、
急いでご飯をかきこみ、
7時には汚いバンガローに戻り、
本を読む。
ニホンコン、ここで重大なことに気づく。
「なんでひとりで来てんだ?アタシ」
そう、ここは南の島、PP島。
こんなキレイなビーチ、恋人同士で来たら
そりゃもう楽しいに違いないし、
一生の思い出に残るだろうよ。
そういえば会う人会う人
2人セットばっかりだったような・・
昼間も仲良しそうな外人さんカップルが
楽しそうにしていたのを沢山目にしたっけ。
そうだよなー、普通に考えたら
こんなところ1人で来ようなんて思わないよなー。
ハタから見たら、
「ひとりでテンション高くおかしなビキニではしゃぐ旅行客」
としか見えないよなー。なんて思う。
今ニホンコンの目の前にあるのは
バンコクで買った本と、薄暗いバンガローの部屋のみ。
あああ、来る場所間違えた?ニホンコン?
いやいや、あの時バンコクでここに来ることを決めた時には
100%の力でここに決めた筈だからその時の決断に後悔はない筈!
こんなぐるぐると自問自答を繰り返しているニホンコンは
もはや「島の裏側に幽閉されたひとりぼっちの元気で醜いミニビキニ」。
「相当薄汚かったっけ」
教訓:南の島のビーチは好きな人と行くべし
7月5日 坂下日本/香港
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