第109回 「ミニビキニ」
ニーハオ、ニホンコンです。
山形の旅から帰ってきました!
初東北は感動の連続。
ご飯は美味しいし、人は素敵だし。
だいぶ充実して、パワーアップして
(本当にしたのかどうかは不明だが)
帰ってきました。
写真が出来上がったら、このお話も
少ししたいところですが、
先週予告してしまったので、
さて、旅の続きをお話するとしますか。
タイでノンビリ過ごして帰国しようと
「海外生活卒業旅行」に出たニホンコン。
そんなんで終わるワケがなかったのね。
バンコクに到着し、安宿にチェックイン。
多分1泊300円とかそのくらい。
汚いベッドが4つくらい
「寝たきゃ寝れば」くらいの状態で転がっている
薄汚い部屋でぐうぐう寝る。
1夜明けて2日目。
バンコクの安宿街「カオサン通り」を
歩いていて目にした看板。
「BANKOKーCALCUTTA 290/US$(1year OPEN)」
何だ何だ?
バンコクはタイでしょ?カルカッタってインドだよね、
タイ〜インドの航空券、しかも1年オープンチケットが、
日本円にして3万円くらいってこと??
ガ・ガーン!
安い!安すぎる!
「いかねば!!」
この値段に頭をガツンと打たれたようなニホンコンは
そのまま足の赴くままヨロヨロとその旅行代理店に入り、
チケットと、ビザの手配を済ませた。
そしてその15分後には「タイの旅行者」というよか
「1週間後にインドに行く人」と
なってしまったニホンコン。
あらら。
そっからが考えもの。
ビザの発給まで1週間を要するということで、
それまでタイ国内に居なくてはならないのだけど、
1週間バンコクに居続けるのもなんだよなー、と思い、
また同じ旅行会社にヨロヨロと戻る。
「あのー、すいません。一週間でどこ行けばいいですかね?」
下調べもガイドブックも持たない旅は
人に頼って生きて行こう精神で主体性の無い質問を投げかける。
担当者もいささか困ったようであるが、
「時間があるならPP(ピピ)島はどうですか?キレイですよ」
と。
よくよく話を聞くと、当時、封切られたばかりの映画
レオナルド・ディカプリオ主演
「ザ・ビーチ」
のロケ地になった楽園という。
今では津波の被害をモロに受け、大変な場所なのですが、
当時はまだ手つかずの秘密の場所感が溢れていた。
んじゃソコに。とあっさり決定。
出発は今日の夜。14時間の深夜バスがあるという。
バンコクに来て2日目だってのに、
もう夜の切符を取って、宿に荷物をまとめに行く。
宿の人も1晩でチェックアウトする私に吃驚していたようだが、
私は当時、バンコクがあまり肌に合わず、
一刻も早くここを抜け出したかった。
香港から1時間ほどのタイの首都、バンコクは、
その空気や匂いまでもが、あまりにも香港と似すぎていて
雑踏から遠ざかるために旅に出た意味がなかった。
深夜のバスでゆられること14時間。
ついたのはPP島の手前、クラビという港町。
ここから船で2時間くらいかけて島に渡る。
地図も持たない自分は、ここで少し休んで
島に移動しようと決める。
だが、肝心なものを忘れて来たことに気づく。
というか持って来ていなかった。
「水着」
スカイブルーの海が広がる離島に行くのに
水着なくしてどうする!
もとより泳ぐことなぞ毛頭考えていなかったニホンコンは
慌てて近くのお店に駆け込むことに。
ガーン!
そこで思ったのは「日本の水着と違う!!」
今目の前にぶらさがっている水着たちは
水着というよりか、ペラペラの布の切れっぱしが
ヒラヒラはためいているだけ。
もはや「隠す」ということすら機能しないんじゃ
ないかと思うくらい小さな水着ばかり。
それを着た自分を想像してみると、
「トップに貝殻を付けたブスな人魚姫」になる。
しかも色は蛍光の黄色かピンクかブルー。
そんな選択肢しかない。
「絶対着たくないーーー」
普通だったらこう思って買うワケもないのだが、
ここまできて海を眺めているだけはもっとイヤだった。
そこで意を決して、ラインナップの中でもマシ中のマシであった、
目の覚めるようなブルーの、小さな、小さなビキニを購入した。
購入した後、ニホンコンはあることに気づき、明るい気持ちになる。
「そうだ!こんだけ沢山同じような水着が売ってるなら、
ビーチもこれを着てる人たちでいイッパイなんじゃん!!」と。
早速着替え、喜び勇んで
小さな小さなビキニで海に踊りでてみた。
すると
「そんな人 誰もいなかった」
ビーチの水着風景はこのようなものだった。
外人さんたちはみんな
「自分の国からカワイイ水着を持参」
現地の人たちは
「洋服で足をチャプチャプしてるだけ」だった。
これは恥だ。
私ひとりだけヒモパンみたいな変なビキニパンツに
(しかも縫製がひどく、後ろはおむつみたくブカブカ)
貝殻よかマシ程度のビキニトップ!
その上、色は目の覚めるようなブルー。
その目立つことと目立つこと。
そしてもっと恥ずかしことに、
周囲から口笛やらヒューヒューの嵐。
現地の若造が私なんかの水着姿を見て大喜びしてやがる。
これは完全に「リゾート地で浮かれすぎたオカシナ人」にしか見えない。
追い込まれたニホンコンは
「海」という最後の逃げ場を見つけ、
「ええい、海に入ってしまえばこんなもの見えるまい!」
とばかりに小走りで海に向かう。
(あまり走るとずれるので小走り)
こっ恥ずかしい大衆のヒューヒュー歓声を
前、横、背中に聞きながら
コソコソと逃げるように海に向かい、
ドボンと海に飛び込む。
幸いクラビの街の海は真っ青ではなく、
バスクリンを入れたようなきれいな緑色。
これなら誰にもワカランとばかりにしばらく泳いでいる。
ただ、問題がひとつ。
出る時に同じヒューヒューを受けなくてはならない。
そこからのニホンコンは、
温泉につかるが如く、肩まで水中に入り、
「早くみんな帰っとくれ!」とばかりに
人がまばらになる時間までじっと海で待っていた。
教訓:海外で水着は買うなかれ
憂鬱なPP島になりそうだ。
これから行く青い空と青い海の楽園に
ビジュアル的に負い目を感じながらトボトボ向かう
女ニホンコン一人旅。
来週もヨロシク。
「クラビの海岸」
6月28日 坂下日本/香港
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