さんきち なぞ図書館

キッパリ!




『サザエさん』を見ていると、
家の中がすっきり片付いていて、
とても気持ちが良い。

と、数年前、友人が言っていた。

それを聞いたときは、
「相変わらず変なとこ見てるなあ。」
と笑ってしまったが、
実はそれ以後私も、
『サザエさん』を見る度にその言葉を思い出し、
「本当にそうだなあ」といつも感心している。

サザエさんの家は、
無駄なものがなく、
すっきりシンプルに片付いており、
見ているだけで気分がいい。

きっとフネさんが、
こまめに掃除をしているのだろう。
出したものはすぐしまい、
パパッと片付けたり、ササッと拭いたりしているのだろう。

それはどう考えても、サザエさんの仕業とは思えない。
サザエさんは掃除下手の気がします。
たぶん。性格的に。

で、どちらかと言うと、
サザエさんタイプの性格を持つ私とその友人は、
あのすっきり片付いた磯野家をみて、
すばらしいなあ。気分いいなあ。と
しきりに感心しているのです。

今回紹介する本を読んだときに、
まずなにより先に「この本を教えてあげよう!」と
思ったのが、この友人でした。

この本は、フネさんには用がない。
サザエさんにこそ、必要な本だと思うので。



「キッパリ!」 上大岡トメ著 幻冬社 1200円


勘違いされるといけないので、
はじめに言っておきますが、
これは、掃除のノウハウ本ではありません。

副題がついています。

〜たった5分間で自分を変える方法〜

あやしい感じがするかもしれませんが、
たいしてあやしい本ではありません。

ちょっとこの本の最初のところをみてみると・・・













この「やらなきゃいけないけど、できない!」
というこのどうしようもないやり切れない想いは、
本当によくわかる。

「めんどくさい病」という重病に冒されているんだ私は。
という気になります。

これを抜け出るのは相当の苦労がいるけれど、
この「きっぱり!のポーズ」はほんとにききます。

これを本気でやっている自分にちょっと笑うし、
なんだかウルトラマンみたいな気分になってきて、
だんだん面白くなってくるから。
実際背すじがのびて血が巡るしね。

いくら頭で「こうするべきだ!」と分かっていても、
言い聞かせても、どうにも抜け出れないことを、
とにかく理屈ぬきで、行動をさせてしまう。
そうすると、連動で気分が回復し、動き出せる。

要するにこの本は、一言でいうと、
「行動で気分を変えてこう」という本なわけです。

この本は、このきっぱり!のポーズにはじまって、
その具体的な「行動」が、60個載っています。
この60個が面白い。

作者が実際やってみた100個のうち、効果があって、
今後も続けたいなあと思ったものを
60個載せたそうです。

とにかく簡単で誰にでもできる、ちょっとしたこと。
なんか、簡単そうだから、
今日帰ったらやってみようかなあとワクワクしてきます。

たとえば、

「脱いだ靴はそろえる」
「光るものを磨く」
「処分したい新聞、雑誌は、中身を見ずにさっと束ねる」
「水の流れる場所をキレイにする」
とか。

もちろんこういった、掃除系だけではなくて、
こんなのもある。

「迷った時は、勇気がいる方を選ぶ」
「花を活ける」
「鏡の前で5分笑う」
「レジの人にお願いしますと言う」
「知ったかぶりをしない」
「疲れたと思ったらとにかく眠る」
「いつも車や電車で通り過ぎてしまう道を歩いてみる」
「髪の分け目を変えてみる」
「おひさまとともに起きる」
「急いでいるときこそ字を丁寧に書く」

などなど。

なにやら、やってみたくなりませんか。
ちょっと強引だけど、強引に自分を動かしてしまうのです。
そうするとなんだか気分がいい。

なんと100万部売れてるんだそうだ。
読んでみたら、ぱっと読めるし、
簡単だし、面白いし、役に立つから、納得。

イラストレーターでもあり、
二人の小さな子供のおかあさんでもある作者の、
がんばり屋でかわいらしくて明るい人柄が、
この本の中には詰まっている。
ぱらぱらとめくるだけでも、元気が出てくるような
そんな本です。


さんきち



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