第107回 「香港人の香港就職事情」


ネイホウ!(ニーハオの広東語版)
ニホンコンです。

坂下日本/香港、100回を越えてからも
何ら変わりなく毎週元気よく更新しております。

毎回毎回「もう完全にネタ切れた〜!」と
思いながらも、不思議と最後には帳尻が
合うよう、ネタがあり、こうしてアップできる
状態にあります。まあ楽しいからいいのですが。

さて、今日は、と。
とある知り合いの方から、香港の
学生の就職事情について知りたいと依頼があり、
少しまとめて情報をお伝えしました。

相手の方はすごく興味深く聞いてくれ、
とても参考になったようでした。

思ったのは、自分では普通だと思って話もしなかった
ことが、時に「そうだったんだ!」と、
驚かれたりするものがあるんだなと。

今回の件も、日本と香港の文化の違いが
色濃くでているものだったので、
こりゃ伝えないと!と思い、
この場をお借りしてお話します。




「香港就職事情」

資本主義の縮図といわれる香港では、
毎日金融をはじめ、今では中国本土に向けた
巨大なマネーゲームが日々繰り広げられています。

そんな香港での就職事情。

毎年リクルートスーツや就職率などで
世間を賑わす日本とはかなり異なるところが多々あり、
少しそれを紹介。

日本では「新卒」という言葉が存在しますが、
香港ではそのような単語は存在せず「完全実力主義社会」。

なぜなら香港に大学は2つしかなく、殆どが高卒にあたるもの
もしくは専門学校卒。

学歴というのがあまり重視されない社会で、むしろ本人の
スキルが一番重要になってくるのが香港ビジネス社会。

というわけで香港の学生は在学中から社会で通用する技を磨き、
社会人になったその日から歯車となれるよう、日々訓練しているのです。

新人研修が数ヶ月あり、1年間はミスも大目に見てもらえる
日本の新入社員とは全く違う環境なのです。

また、香港は97年までイギリスの植民地、そしてビジネスの
世界では外資系が山ほど参入してきている為、英語は必須。

日本ではバイリンガルといえばかっこいい響きなのですが、
香港では広東語、英語、加えて大陸で使われる北京語を
話す人も多かったりと、2カ国語などは「常識」レベル。

私が働いていた香港の広告代理店では、日本人、香港人、
インド人のボスがいて、ジョブごとにトップが変わるという
方針だったため、プロジェクトによって会議は皆英語、中国語
などと使い分けをしていた程。
(私?使い分けが出来ていたような、いなかったような・・)

また、日本と香港の一番の違いは「勤続年数」。
日本ではだいぶ崩れたといわれている終身雇用制ですが、
それでも何年、もしくは何十年と働くのが普通ですが、
香港では平均勤続年数が驚くほど短いのです。

何故なら香港の会社では給料が年俸制。
毎年1回更新の時期にどの会社も面接があり、実績ベースで
50%アップ、30%ダウンなどが当たり前。

日本のプロ野球と同じと言えば分かりやすいかと。

そして通常、一連の仕事が回せるようになり、日々同じことを
繰り返す日々になると年俸は「現状維持」。

そうなると香港人はどうするか?

答えは、会社というものをひとつのステップアップの
一つと考え、入社した会社で学べるだけのことを学び、そして
上がるところまで給料が上がったところで、そのスキルと年俸を
持って、更に上を目指して転職していくのです。

日本では、会社に長く勤めることがヨシとされ、
転職を繰り返す人の評判がよくないとされますが、
香港では、逆に長く会社に居る人こそ
「仕事ができないから次に移れない」という
レッテルを貼られてしまうのです。

香港における平均勤続年数は9ヶ月と言われていますが、
私の経験からいって周りはだいたい2年がサイクルだったかな、と。

そしてその先はどうするか?

皆、最後まで雇われの身になるつもりはこれっぽっちもなく、
20代の早いうちからどんどん会社を興し、自分の力でお金を
稼ごうとしているのです。

ここでは「就職」というものに執着することなく、
最終的に「どうお金を自分のもとに引き寄せるか」、これを
見据えた上の逆算で、学生を終え、会社に入社するのです。

素晴らしく合理的かつ賢い生き方。

ニホンコンはこの生き方こそ真似できないけど、
合理的に、且つ計算高く(いい意味で)
生きようとするところには、だいぶ影響を受けました。

また、少数ではありますが、香港には大卒者は存在します。
じゃあ彼らがどうしているかというと、これがまた事情は一変して面白い。

大卒者は、卒業後、外務省や国家機関にすんなり入社し、
驚くほどのお給料を貰いながらも日々忙しく各国を飛び回ったり、
社会に出てからも大学へ派遣され更なる勉強をしているエリート集団。

彼らは先にお話した商人香港人とは180度違い、お役人気質が豊富。
将来に備えマンションを買い、ローンを払い続ける=絶対に
そのポジションを離さない覚悟をしております。

ちゃんと死ぬまで同じ場所で働く人も香港には居たりするのです。

いずれにせよ、香港人を語るには、最後は必ず「お金」にいきつく
ところが、商人の街、香港の特徴なんだなと、しみじみ思います。

TIME IS MONEY、時は金なり。

この言葉はそんな香港の為にあるんだと思います。






6月14日 坂下日本/香港


PS:先週の結婚式レポート。

主人公であった新婦がたいそう喜んでくれ、
身内をはじめ、お友達にも沢山紹介してくれました。
お友達やお姉ちゃんからもメールが来ました。

そして、その日のSAKRA.JP、アクセスが何故か多かったとか。

兎にも角にも、どうもありがとうございました。


Kaori Sakashita Presents [ サカシタニホンコン ]
All rights reserved by Kaori Sakashita & SAKRA 2005