小学校の頃、帰りの掃除の時間は家庭で作ったオリジナルエプロンと三角巾を着けて
掃除をするのが決まりだった。
私はフリフリのエプロンにピンク地にドット柄の三角巾という、小学生だから許されるブリブリ
の可愛らしいいでたちで毎日雑巾がけをしていたものだ。
女の子とはいえ、当時小学生だった私に鏡を見る習慣など全く無く、自らの目に入らない
ものは気にも留めなかった。
そう、、、頭につけた可愛らしい三角巾のことも。
ある日私は、三角巾をはずすのをすっかり忘れ、家まで帰ってしまった。
家に着き、食器棚のガラスに映し出された自らの滑稽な姿を見て初めて、自分の醜態
に気がついた。
そう言えば、道々合う友人達の視線が何故か頭の方に向いていた。
何故かではない。三角巾だよ、さんかくきん。
それなのに私は「今日の私の髪型が決まっているからだわ」くらいに自信満々の笑顔を
振りまいていた。
もう私に残された手段は一つしかなかった。
次の日から私は、「これはおしゃれなのだ」と言わんばかりに三角巾をまいて登校した。
これが私の武勇伝である。

4月から木梨憲武司会の「ゲンセキ」というネタ番組がTBSで放送されている。
10月から始まるコント番組のレギュラーを若手芸人から発掘しようというオーディション
番組である。
その中でなかなかのダイヤモンドのゲンセキを発見した。
4月の人気投票でも1位を獲得した「オリエンタルラジオ」である。
ボケのあっちゃんの武勇伝をテーマにリズミカルに進められていく、「いつもここから」や
「ヒロシ」のようなタイプの単発ネタタイプの芸人である。
基本的に私はこのようなタイプのネタはあまり好きではないが、
つかみとしてはOKだと思った。
まず二人のキャラクターが良い。
一度見たら忘れないアニメにでも出てきそうな容姿である。
次に一度聞いたら耳につく武勇伝のオリジナルソング。
そして何よりも、細かい演技力が非常に上手い。
それは細かな動きだったり、微妙な表情だったりするのだけれど、おそらく全てが計算されて
おり、何度も練習を重ねた賜物だと予測される。
武勇伝の内容は主にバッタに憧れ跳ね回ったり、ピンポンダッシュでダッシュしない等の
くだらないものだが、ツッコミのフォロー(合いの手?)や演技力で
何倍も面白く仕上がっている。
視覚、聴覚という点で、とても印象に残るコンビである。
若手芸人はとりあえずつかみが大切なので、その点でオリエンタルラジオは大成功である。
今後に期待したい。

余談だが、ダイヤモンドのゲンセキで思い出した。
松本人志ビジュアルバムで「いきなりダイヤモンド」というコントがある。
刑務所に入っている松本が、同じ部屋の板尾を漫才の相方に誘うのだが、板尾のツッコミが
最初から非常にうまく、磨けば光る原石ではなく、いきなりダイヤモンドだというのだ。
コントの内容もさることながら、「いきなりダイヤモンド」という言葉も印象的である。
さすが松本人志だ。


千田なつみ Presents [ 笑い道]
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