羽を伸ばしにハワイへ行ってきました。
今までハワイはなんとなく私たちとは接点がなく、アンテナが向かない場所でした。
長い休暇を前に、「ここに行きたい!」というところが出なかったので、
「じゃあ、いっかいハワイでも行ってみるか」という夫のひと声で、
あれよあれよのうちにチケットをとっていました。
出発を目前にしても、ハワイにいる自分たちがどうするのか全く想像できず。
でも、日本では、あれだけみんなハワイ、ハワイというのだから、
楽しいところににちがいないと期待はしていました。
いつも旅先では、見たいもの、食べたいものがいっぱいありすぎて、せかせかしがちだったけど、
今回は気楽、気ままな旅だったような気がします。こ
れも青い空と青い海、心地よい風が吹きぬけるハワイだったからでしょうか。
ハワイ旅日記 〜オアフ島にて〜
4月27日(水) 東京もホノルルも晴れ
まさにハワイ日和という感じの晴天の中、電車でゆっくり空港に向かい、夜の便に乗る。飛行機で夫はほとんど寝ていた。私はあまり眠れなかった。二人とも機内の朝食を食べそびれてしまう。
6時間足らずのフライトでホノルル空港へ到着。旅先へ朝に到着するのははじめてで新鮮だった。米国の入国審査は厳しく、指紋と顔写真までとられた。私は指紋がうすいと言われ、何度もやり直す。荷物受取所にはビーグル犬の麻薬犬。人の足の間をすりぬけながら、一生懸命クンクン仕事をしている。
時差は19時間もあって、日本時間から1日もどして5時間足すとハワイ時間になる。ハワイに着いた人には、ハワイアンの女性が、レイ(花の首飾り)をかけてチュッと迎えてくれるのではないかと夫はちょっと期待していたらしいが、そんなもんもちろんない。
まずは空港近くのレンタカーオフィスに車をとりに行く。私たちの車はワインレッドのふつうの車だった。ナンバープレートにはレインボー模様で、おもちゃのよう。とりあえず、ワイキキにあるホテルまで車で向かう。ホテルまでの道のりは、渋滞に巻き込まれたり、道に迷ったり。まわりの景色はまだ全然ハワイという感じではないが、横に走っているトラックの窓からはタトゥー入りの日に焼けた厳つい腕が出ている。一方通行にさんざん悩まされ、やっとホテルに着いた。フロントのお兄さんは色白でぽっちゃりの日系人で、声が2オクターブくらい上、落ち着きがなく見た目は男だが、どちらかといえば女。チェックインの手続きをしてもらっていると、思わずこちらも笑ってしまう。
オアフ島で私たちが泊まったのは、ワイキキの中心から少し外れたコンドミニアム。14Fの角部屋で、キッチンがついていて、広いラナイ(ベランダ)からはワイキキの街と青い海が見える。爽快でほんとうに気持ちがいい。窓を全開にして寝ころぶと風があまりに気持ちよく、おなかがへってガマンできないと言っていたにもかかわらず、ふたりとも昼すぎまで寝てしまう。
いつまでも寝ていると今日が終わってしまいそうなので、がばっと起きて、夫をたたき起こし、着替えて出かける。とりあえず歩いてワイキキビーチに向かった。ホテルやお店が立ち並ぶ通りを歩いていても、まだハワイにいるという実感がない。ここはハワイで外国なのに日本の人がたくさん歩いているし、日本語の看板もある。でも建物は日本ぽくない。寝起きで頭はボーっとしているし、夢の中のどこかわからない街を歩いているような不思議な感じだった。
到着前、「ハワイでのはじめのごはんは“まさにハワイ!!”って感じのところで浮かれて食べよう!」と言っていた。のっけから思い切って、ワイキキの顔、ロイヤルハワイアンのビーチに迫り出たダイニングにやって来た。夫はクラブハウスサンドイッチとハワイのビール、私はアボガドバーガーとトロピカルカクテルを注文した。どちらも山盛りのポテトとパイナップルが添えられていて、小さなケチャップとマスタードの小瓶がついてきた。あんなにハラペコだったのに、ボリューム大で食べきれず。鳩がおこぼれをもらおうといっぱいいて、人のいなくなったテーブルにのって、脂っこい残り物をつついていた。たまに従業員が追っ払うが、またすぐに戻ってきてしまう。こっちの鳩はほとんどが白かった。このホテルは別名「ピンクパレス」の通り、ピンク一色だった。私の飲んだカクテルの名前もピンクパレスという名前で、ピンク色のココナッツの香りがする甘いフローズンカクテルだった。ハワイアンブルーの海とワイキキビーチ、遠くに見えるダイヤモンドヘッド、浜辺で過ごす水着の人たちを眺めながら、ハワイにやって来た実感を沸かす。
ホテルに水着を置いてきたのを後悔しながら、先に歩いていく夫を裸足になって追いかける。夕方が近づいて、潮が満ちているのかビーチがどんどん狭くなってきている。さすがにここは人が多いけれど、みんな思い思いに過ごしていた。女の人は体型も気にせずビキニ姿。お尻丸出しの水着で平気で寝ころんでる人。フリスビーを上手にする人。たまにやってくる大波に捕まり、服のまま砂まみれになって笑われている黒人のヒョロ長いおじいちゃん。帰ろうと言う父親に、まだ遊びたいと泣いて駄々をこねている子供。気づけば結構長く砂浜を歩いていたので、足のふくらはぎがパンパンになった。
夕飯を物色に街のスーパーに入ってみるが、まだおなかがいっぱいなので全く何も見る気もせず。ふたりともトイレに行きたくなって、近くのホテルに入るが、どこもそのホテルの宿泊客しか使えないようになっていて困る。おかげで私の機嫌が悪くなり、そんなことで怒る私に夫は呆れる。
スーパーでウミガメの絵が書いてある瓶のビールを買って、ホテルに戻る。夫はさっそく開けて飲んでいるが、ビールなのになんだか甘ったるくて不思議な味がするらしい。そうしているうちに、また寝てしまった。
寝て起きても、遅いお昼を食べすぎたせいで、おなかがへらない。部屋でちょこっと食べようと、地図で見つけたスーパーに歩いて行ったが、そのスーパーは潰れていた。外食するのももったいないので、仕方なくABCストアでスパムおにぎり、黒米みたいなのとチキンが入ったチーズクリームスープ、サラダ、ソーセージ、ビールを買って帰る。スープとソーセージはおいしくなかった。食べている間、時差ぼけなのか私はまた眠くなる。
明日は知人に紹介してもらったハワイ在住のおねえさん、マキさんのプライベートツアーでイルカに逢いに行く。朝がとても早いので、今晩はビールも控えめにしてさっさと寝る。
4月28日(木) 雨、時々晴れ
5時半すぎに起きる。急いで身支度をして、朝食をちゃんと食べる。6時20分にホテルロビーに下りる。ツアーといっても参加は私たち夫婦のふたりだけ。眠いのでまだ気持ちが低い。
車で颯爽とサングラス姿で現れたマキさんの第一印象は、小麦色の肌がなんとも健康的で落ち着いた感じの女性。人あたりも自然な感じ。とりあえず車に乗り込んだ。人見知りの私は何から話していいものかと思っていると、まずお互いの自己紹介をすることになった。マキさんは日本からオアフ島に移り住んで10年以上。以前はダイビングのインストラクターをされていて、今はこのツアーをしながら彼と愛犬と一緒に毎日を過ごしているのだそう。こちらは夫がざっとヘタクソな自己紹介をし、私がつけ加える。私たちのことは、前もって知人からのメールで知っていたようで、レシピ本を作ったことまで知られていて、少し大げさに伝わっている気がして恥ずかしくなった。
朝から曇り空。車に乗ってしばらくすると、雨が降ってきた。天気予報は雨。久々の雨らしい。「雨でも海の中に入ってしまえば同じ」と夫が言ったが、私は心の中で「晴れの方がいいに決まってるのに」と思う。ハイウェイは事故で渋滞していて、車はなかなか快調に行かず。ハワイのことを色々教えてもらったり、最近の日本のことを話したりしながら、車はオアフ島を西へ西へと向かう。サメ好きの夫は、イルカに遭いに行くのに、「サメはいますか?」と聞いていた。
車は色んな所を通り過ぎた。「この〜木なんの木、気になる木〜♪」の木、中国人が多いダウンタウン、アロハスタジアム、津波を計測するヘンテコな形の柱、小錦の実家、ハワイアンの聖なる土地、海、鮫の神様がいるというカネアナ洞窟、アメリカ軍の広い敷地。オアフ島の西の方にはサモア系の人が集まって住み、東の方にはハワイ系の人が集まって住んでいるのだそう。ちなみに小錦は西出身、曙は東出身で顔も違う。人種のちがいからか仲が悪いとか。夫は昨日街においてあったフリーペーパーで「曙のママの家に泊まろう!」というツアーがあったと言う。渋滞がとけ始めた頃には、なんと前方に晴れ間が見えてきた。気持ちが高まり、風景がだんだんとのどかなハワイの田舎に変わり、海が見えてきたと思ったら、いつの間にかまわりは大自然だった。
目的のビーチに着くと、大きくて強そうなハワイアンのおじさんがいた。ジョンさんといって、このビーチの常連さんのひとりで、ハワイの海の絵を描いている人らしい。ジョンさんは私たちが来るもっと早い時間から、ここでギョロっとした目で海を見ていた。6時半頃にクジラを見たと言っていた。イルカはまだ来ていない。早速、夫はカメラ片手に歩いて山の方を撮りにいった。途中、道ばたで海を見ながらウクレレを弾く人がいて、あいさつをしたのだそう。
この頃の海は穏やかで、泳ぎが苦手な私でもたぶん大丈夫と聞いていたものの、意外に波は強く、おまけに水も冷たくて、この海に入っていくと思うと不安になった。私たちは沖に出てイルカを追い回す観光船とはちがって、イルカがやって来たらシュノーケルで海に入り、好奇心旺盛なイルカが近寄ってくるのを待つ。先週末はなんと50頭もの大きな群れに遭遇したらしい。イルカが陸近くにやってくるのはだいたい午前中。まだまだ時間はあるので、気長に待った。
私はマキさんとお喋りをしながら、一緒に海に目を凝らしてイルカを探す。夫はビーチで狂ったように砂遊びをしていたと思ったら、体を日に焼くために大の字になって、波打ち際で打ち上げられた死体のように寝ていた。
途中、ジョンさんが様子を伺いに足ひれとシュノーケルを持って海へ入っていった。大きな体は人間とは思えないスピードでみるみるうちに小さくなって、その姿はじっと見てないと見失う米粒ほどになった。帰ってきたジョンさんは、姿は見えないがイルカの声はすると言う。しばらくすると、遠く遠くにそれらしき姿が見え始めた。
ギュウギュウの車に乗って、ハワイアンの家族4人がやって来た。この家族もこのビーチの常連。これまた4人ともお肉たっぷりで大きい。それから、アメリカからの男女、白人のおじいちゃんおばあちゃん夫妻もやって来た。
そろそろ道具を準備し、いつでも海に入れるようにと浜辺で待った。そうしているとイルカウォッチングらしき船とカヤックの団体が、イルカがいる沖の方に近づいていく。好奇心旺盛なイルカたちは、そっちに寄っていってしまった。カヤックの周りでジャンプしているのが小さく見えた。白人の老夫婦は、もう我慢できないのか果敢に海へ入っていってしまう。
イルカを待ちながら、私はいつの間にか、ビーチでウトウト眠ってしまった。目が覚めると、もうイルカたちはどこかに行ってしまったとのこと。仕方なくこのビーチは後にして、お昼に別のビーチでピクニックにすることにした。運がよければ、そこにイルカたちがやって来るかもしれない。ジョンさんは「君たちはいなくなったら、イルカがここにやって来るかも」と意地悪を言った。
スーパーのランチ売り場は活気ムンムン。整理券をとって、番号を呼ばれたら好きなものを選んで入れてもらうしくみ。私は是非ハワイアンフードを食べたかったので、マキさんを頼りに、どれにしようか悩む。店員のいかにも怖そうな細いおばちゃんとド迫力のおデブねえちゃんは、忙しい中、何が何やら分からない私たちに嫌な顔ひとつせず、親切に味見をさせてくれた。豚のレバーを血で煮たようなものがあって、食べるとなかなか強烈。体によさそうと思いつつもこれはパス。結局、ラウラウというハワイアンフード、ヤキソバ、グリンピースとお肉を煮たのを選んだ。
ランチに来た海はきれいながらも、ちょっと怖いとのこと。見るからに怪しそうな人が、ほんとにウロウロしている。車を離れると荷物を狙われるので、車の見えるベンチでランチとした。ピンクのTシャツに麦藁帽子をかぶったハワイアンの太った男が、釣りをしている。ラウラウは全く今まで食べたことのない種類の食べ物。豚肉と魚や牛肉を葉に包んで蒸したもの。やわらかく蒸しあがったお肉と魚はかなり脂っこいけれど、一緒に食べる葉っぱがお茶っ葉みたいな風味がして、それほどしつこくない。
海岸線に沿って、昔のサトウキビ列車のレールが残っていて、一部だけ極たまに観光列車が走るとのこと。偶然、通りかかる。マキさんが「これは貴重ですよ」と言うので、夫はカメラを持って走って行った。とても小さな列車で、乗っていた白人の女性が狂ったように手を振っていた。
イルカに逢うのは無理そうだけど、せっかくなので海に入ろうということでシュノーケリングをすることに。やはり車を離れるわけにはいかないので、常にひとりが見張り番役。
まず私とマキさんで海に入る。ダイビングをする人もちらほらいる。波とうねりが結構強くてとても怖かったが、マキさんの教えを聞いて、緊張しながら海に入った。水はめちゃくちゃ冷たい。のっけから波に打たれ、水を飲んでうろたえながらも、マキさんの手を握って必死についていった。はじめは緊張と動揺でうまく息ができずに怖かったが、しばらくして魚が見えはじめると、そっちに夢中になった。陸からすぐ近くの海の中なのにすごくたくさんの種類の魚がいた。群れもいた。細長い見たことない魚もいた。私は途中、自分がどの辺にいて陸はどっちなのか全く分からなくなってしまったが、マキさんはもちろんちゃんと分かっていた。ずっとへなちょこの私の手をもっていてくれたマキさんが、たくましく、感動した。私は海が怖くて、今まで足のつく浅瀬でしかシュノーケリングをやったことがなかったので、たった3メートルくらいの深さでも大冒険だった。
車へ戻ると、見張り番の夫がしかめっ面に腕組をして待っていた。私とマキさんがぴったり寄り添って泳いでいく様子が見えていたらしい。私が意外に岸から遠くにいて、びっくりしたらしい。
次は夫とマキさんが海に入る。夫は余裕だったらしい。ふたりの姿が見えたと思ったら、少しお互い離れて泳いでみたり、顔を出して何か話したり、夫が足ヒレを海面に突き上げて海底に潜っていく様子が見えてびっくりした。深さが3メートルくらいとはいえ、素潜りはさすがに怖かったらしい。
ワイキキに帰る車の中で、私はまた寝る。
イルカと泳げなかったのは残念でならないが、こればっかりは仕方ないので、次来たときの楽しみとしてとっておくことにする。別れ際、マキさんはハワイの情報をいろいろ下さった。お礼とまた会いましょうの握手をして別れる。
マキさんと別れてから、急にイルカに逢えなかったことがくやしくてたまらなくなり、いつまでも夫にくよくよ言う。明日のツアーにこっそり車でついて行こうとまで言う。夫は呆れて聞き流していた。
そんなに疲れてもなかったので、少し休憩してから、観光がてらアラモアナショッピングセンターに行ってみた。とても広いところで、とりあえずフードコートでコーヒーを飲んでから歩いてみるが、全く物欲が沸かない。夫、「ここはおもんない」と言う。
教えてもらった現地のスーパーへ、夕飯と明日の朝食の買出しに行く。夫は、今晩はごっついステーキを焼くぞとはりきっていて、さっそく肉選び。私が一緒に選ぼうと近寄っていくと、「あっちへ行け」と追っ払われる。スーパーには色んな種類の野菜とフルーツがあった。何もかもがデカすぎる。ロールパンなんてエサのようにいっぱい入っている。カラフルなデコレーションのお菓子は、日本人にはないにちがいない発想。
ホテルのエレベーターで、日本人のほろ酔い中年軍団と乗合わす。「新婚さんですか〜それとも・・・・」といやらしい目で見られたような気がした。
夫はフライパンでステーキを焼いてくれた。調味料は簡単に家からもってきていて、ステーキは辛子醤油の和風で食べた。この日の夕飯はステーキ、レタスのサラダ、アボガドのサルサソースがけ、ポキ(ハワイのマグロのヅケ)、ラウラウ(お昼の残り)、クリームチーズのディップ、タコス、パン、ビール、パイナップル。
窓から入る風が気持ちいい。涼しいので冷房はいらない。私は、また眠くなる。ビーチで寝てしまったときに足を放り出していたので、ふくらはぎが真っ赤に日焼けをしてしまいヒリヒリ痛い。
4月29日(金) 晴れのち曇り
朝からモリモリ食べる。朝食はイングリッシュマフィン、甘いドーナッツ、ヨーグルト、パイナップル、バニラ風味のコーヒー、グアバジュース、オレンジジュース。マフィンは半分に切ってトーストして、ハムとチーズを挟んだ。やっぱりハワイのパイナップルはおいしい。
今日はオアフ島の北、ノースショアーまでのんびりドライブする。まず近くのスリフトショップ(リサイクルショップ)に寄る。山盛りの商品の中から夫はTシャツとアロハシャツ、私はサーフパンツを買った。高価な買い物をするよりも、いかに安い買い物をするかで盛り上がる私たちは、やっぱり大阪人。
ハイウェイにのって北に向かう。車は家からもってきたCDをかけてノリノリ。今回はめずらしく道に迷い途方に暮れることはなかった。こっちは信号が赤でも右折はできるというところがあって、慣れない私たちはついつい停車してしまう。対向車のハワイアンのビッグママが窓から身を乗り出して腕をブンブン回しながら「曲がれー!!」とすごい迫力で叫んで知らせてくれる。ハワイの人はクラクションを使わないのか。割り込みさせてあげると、窓からニョキっとハングルーズの手が「アリガトウ」と出てきておもしろかった。
ワイアワという小さな町に寄ってみた。ハワイというかアメリカの田舎町といった感じ。信号待ちで日系人のおばあちゃんに「あなたたち今朝会ったわねえ」と話しかけられた。もちろん知らないので「観光客です」と答えると、とぼとぼ歩いていった。ここでもリサイクルショップをのぞき、1ドルのTシャツを買った。海から離れたここは、風がなくて日差しがチリチリして暑かった。
町を出て田舎の1本道をしばらく行くと、Doleのパイナップル園があった。ソフトクリームがおいしいと聞いていたので、食べるために寄る。ついでにパイナップルのジャムや木のお皿など家族へのお土産を買った。
パイナップルかサトウキビの広い畑の中の道を行き、もうすぐ山を越えるというところで、やっと目の前に海が見えた。
私がノースショアで楽しみにしているのは、シェイブアイスとエビを食べること。町に入って少し行くと、シェイブアイス屋を簡単に発見した。何件かある中の、いちばん有名なマツモト・ストアにする。ここはシェイブアイス専門ではないらしく、日用品屋のようでシェイブアイスも売っているという感じ。でも繁盛ぶりにあやかって、自分の店のTシャツを何種類も作って売っていた。商売っ気ありあり。シェイブアイスはふたりで分けようとレインボーのLサイズにしたら、これまたびっくりするほどデカかった。さっきパイナップルのソフトクリームを食べたばかりなので、おなかがやられないか心配しながら食べる。日本のカキ氷よりもシロップがあっさりしていて、おいしくて意外にどんどん食べた。食べこぼしには蜂がブンブン群がってきた。ゴミ箱は蜂の巣のようで近づけない。
少し車を走らせると、サーフィンの聖地といわれているだけあって、サーフボードを持った人が多く行き交う。“サーファー飛び出し注意”の道路標識もある。サーフボードを小脇に抱え自転車で颯爽と走る人もいる。ノースショアに大波がやってくるのは冬。今は比較的波は小さいとのことだけど、私にとっては怖いほどの大波に見える。映画で観たコイル状に巻く波があちこちに見える。よく見るとたくさんのサーファーがプカプカ浮いていて、波がやってくると、急発進したかと思えば波に乗っている。のみこまれたと思えばまた出てくる。遠くから見ているだけでハラハラ楽しい。大きな海に挑む人。人間ってちっちゃいなあと思う。
波打ち際では波が強くて沖に帰れないのか遊んでいるのか分からないウミガメたちが、波に揉まれてプカプカ浮いていた。夫はカメの写真を撮りに行き、「カメの裏(おなか)を見た!」と言って興奮していた。そのカメを狙っているのか、大きな釣り針のついた網を持って、じっと波を見ている変なおじさんがいた。
海は午後の日の光を浴びて、キラキラ眩しい。
3時になってしまい、情報もないので、エビを食べるのは半ばあきらめていた頃、エビのワゴン発見!!ワゴンに大きな赤いエビの絵が描かれている。夫はそれに全く気づかない様子。私は思わず前方を指差して大きな声で「エビ〜!!!」と叫んだ。ちょうど私たちの前を走っていた車もそっちに向かった。お兄さんがやってきて、車を誘導してくれる。ノースショアでエビの養殖をしていて台湾出身とのこと。ハラペコだったので、ひとり一皿注文した。夫はコーラとスパイシー味のエビ、私はパパイヤスムージーとガーリックバターのエビ。ワゴンの中でおばさんがフライパン片手に腕をふるっている。お皿には、山盛りのエビと白ごはん、サラダとパイナップルがのっている。手で皮をむきながら、無言でむさぼり食べた。スパイシーの方はエビチリ風で激辛、ヒーヒー言いながらも夫の手は止まらない。私のはたっぷりのバターとガーリックでいい香り。とてもおいしかった。
やっと見つけたシュリンプワゴンだったけど、この後の道路沿いには続々と並んでいた。ノースショアはエビの産地というだけあって、田んぼのような養殖場がたくさんあった。
日が暮れてしまう前に帰ることにする。ノースショアから東の海岸線に沿って帰った。満腹の私はワイキキに着くまでずっと寝ていた。
買い物はなるべくオアフ島でしておいた方がいいと聞いていたし、次の島ではのんびりしたいので、スーパーに寄って買い物をしてしまう。金曜の夜のスーパーは賑わっていて、私たちは食べ物ばかり買った。
あまりおなかがへっていなかったので、先に明日の移動のために荷物をまとめておいた。遅めの時間にホテル下のタイ料理レストランに行って、少しだけ食べたというか飲んだ。夫はビール、私はピナコラーダ。このタイレストランはとても有名とのこと。そういえば、マキさんはハワイは意外とエスニック料理のおいしいお店が多いと言っていた。青いパパイヤのサラダや、野菜だけのトムヤンクンなど、私はやっとおいしい野菜がもりもり食べれてうれしかった。オススメ料理はものすごいココナッツ風味であまり口に合わなかったけど。
部屋に戻って夫は、明日返す車にセルフスタンドでガソリンがうまく入れることができるかしきりに気にしていた。明日はハワイ島に向かう。
次回はハワイ島での日々です。
それでは、また再来週!
佐藤家
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