今の私の最大の悩み。
それは話がつまらない事である。
面白い話をしても、途中でオチを勘づかれてしまう。
ホラー話もただの不思議な話だ。
ひどい時には、オチがないという始末である。
以前はそれほどコンプレックスには感じていなかったが、
その事実に気づいたとき、自身を失い、ますます話し方が分からなくなってしまった。
夫に色々と指導を受けてはいるが、
私の話を聞いている時の彼の死んだ目は、一向に生気を取り戻す気配はない。
今回はそんな私のような男の話。
宮藤官久郎脚本のドラマ「タイガー&ドラゴン」である。
お正月に2時間のスペシャルを放送し、今春めでたく連続ドラマ化された。
少年時代のある事件から笑いを失ってしまった話下手のヤクザの山崎虎児(長瀬智也)は、
落語家・どん兵衛(西田敏行)の借金の取立てを機に笑いに目覚め、弟子入りを志願。
虎児はどん兵衛の息子で、裏原宿でデザイナーズショップを開いている谷中竜二(岡田准一)に出会う。
主役も脇役も全てがはまり役で、テンポもよく、すぐに物語の世界に入り込める。
そして笑える。小さな笑いも大きな笑いもそこかしこに潜んでいる。
また、各々の登場人物の生活がきちんとあり、笑いの後ろには切なさが汲み取れるのだ。
笑いと涙は紙一重である。
悲しい場面だからこそ笑いが生まれる。笑えるからこそ、かえって切ない。
そんな微妙な笑いを描ける宮藤官久郎に心底あこがれる。
そして何よりもすばらしいのは、ストーリー展開だ。
落語の演目と実際のストーリーがリンクし、展開していく。
最後には美しいオチ。
2時間スペシャルのオチなど、傑作だった。
本当に美しい美しいオチだった。
思わずDVDを購入し、今までジャラジャラしたものは好かん!!と一切ストラップをつけなかった私の携帯に
景品で付いてきたタイガー&ドラゴンストラップをつけてしまったほどだ。
最終回を見終わる頃には、私も虎児を見習って、話し上手になっているだろうか。
あぁ、夫よ。
「おれの、おれの、おれの話を聞け〜♪」
千田なつみ Presents [ 笑い道]
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