さんきち なぞ図書館
雪の中の三人男
すっかり春の気配ですな。
なぜかこの季節、手の平の皮が全面的に、
ぺりぺり剥けるんだけど、これって、なんだろうね。
今年も、5日前くらいからぺりぺりきて、
もうそろそろ完了の予感。
完了すると、
一皮向けてすべすべ。
野うさぎが、夏毛、冬毛と変わるように、
わたしも夏皮、冬皮があるんだろうか。
同じような方、いますか?
わたしだけかな?
実はわたし、冬眠も本当はあるような気がするんですが。
我慢してるけど。
さて、そんな春の到来とともに、
今週の土曜日は、ブリリアントナイト2が開催されます。
このサイトの2周年のお祝いイベントなのです。
もう2年間もやっているのかあ。
そんな風に感じないな。
あっという間だ。
で、そのイベントの詳細は、
このサイトのどこからかにしっかり書いてあるので、
ぜひぜひご参考に。
場所は、渋谷の青山学院のすぐ近く。
宮益坂のぼったら右にはいってゆくとあるところ。
去年は一週間やってて、最後の日を
わいわいするイベントにしたんだったな。
でも、今年は一夜限りのブリリアントナイトなので、
その日がわいわいするイベント。
・・・といっても、まあ、ほらあなみたいで、
眠くなっちゃう雰囲気のよいお店で、
おいしいご飯たべて、おいしいお酒のんで、よい音楽に包まれて、
おしゃべりをしたり、酔いつぶれたりするだけなんだけどね。
あ、それだけじゃないや。
佐藤家のレシピ本やら、
山口フォトと坂下ニホンコンのスライドをやるらしいよ。
まだ見ていないのでたのしみだ。
そして、音楽はSAKRA.JPでもおなじみの、
あの方やらあの方やらが、
DJをされるらしい。
センスがよろしいのですよ。
本当に。
センスがよいとはこういうことをいうのですね。
といったようなDJっぷりです。
ええと、そんじゃら、本を紹介しなくっちゃな。
これは、おすすめよー!
ほんとに!
素敵なんだから。
旅のときとかに読むのに最適かも。
純粋にわくわくしながらぐんぐん読んじゃう。
洒落ていて、軽快で、明晰で、かわいらしい、
愛すべき紳士たちのお話。
「雪の中の三人男」
エーリヒ・ケストナー著 創元推理文庫 580円
春春言っといて、雪じゃん!
と思われるかもしれませんが、
たしかに、タイトルからいって、冬のお話っぽいし、
くりひろげられる舞台は、雪だらけなんだけど、
これがまた、どうしてだか、真冬って感じがしない。
きっと、なんだか明るい雰囲気が漂っているからだな。
この本全体に。
雪はあるけど、
「春スキー」って感じ。
一面の真っ白な雪に、
まぶししい太陽の光が降り注いでいて、
空は青くって、
もう、雪の下には、ふきのとうやらが芽吹いて、
頭を出すか出さないか。
そんな印象の本なのです。
でね、その雪山の上に建つ、
一軒の大きな超高級ホテルが、
この本の舞台。
ちょろっとさわりをお話しちゃうと・・・
主人公は大金持ちのトーブラー氏。
彼が、
・広告アイディアを応募して当選し
・身分不相応なホテルの滞在をプレゼントされた貧乏人
に扮して、おしのびで、その超高級ホテルへ
滞在しようとするのです。
意味わかった?
あ、広告は本当に普通に応募して当選しちゃたんだ。
それで、「そうだ、貧乏人に扮しておしのびで泊まろう」
と思いつくわけです。
彼は、初老くらいの立派な大人ですが、
どうも子供みたいに、好奇心がつよく、
目をきらきらさせて、
「大金持ちのトーブラーさん」ではない、
一人のただの人間として、
どこかへ旅にでたいと思ったのです。
ところが、それを知った娘やら執事やらが大心配。
トーブラー氏のためを思い、彼に内緒で、
「大金持ちの者が行きますけれど、
貧乏人に扮していますから、だまされてあげてくださいね」
とホテルへ事前に連絡をしてしまうのです。
ホテル側は大騒ぎ。
しかし、なんと、この広告賞で当選したのは一人ではなく、
ふたりだったのです。
その、もうひとりの若者は、ほんとうの貧乏人。
失業中の青年でした。
しかし、ホテル側は、彼の方を、大金持ちと勘違いし、
ふたりに、まったく逆の対応をしはじめます。
貧乏人に扮した大金持ちと、大金持ちに間違われた青年。
ケストナーの筆は、ドキドキわくわくさせて、
読み手をぐんぐん物語にひっぱってゆきます。
ううむ。エンターティナーだなあと感心しちゃう。
話がすすむにつれ、
どうなるどうなる?って、
夢中でページをめくってしまいます。
実は、この本の作者の、ケストナーという人は、
ちょっと有名な人なんです。
児童文学の方で。
たとえば、映画になったりもしているけれど、
「点子ちゃんとアントン」
「ふたりのロッテ」
「飛ぶ教室」
「エーミールと探偵たち」とか。
なんだか聞いたことがないかな?
ケストナーの本は、
子供のときに読んで、
明らかに、すごくおもしろかったしワクワクしたし、
なんだかどことなく洒落ていて、
きっちり論理的。
って印象があって、
大人向けの本があるのを知って、
うれしくなって読んでみたけど、
「ああ、これこれ」って、あの時感じた、
彼独特の味を思い出しました。
あ、そうそう。
「雪の中の三人男」というタイトルなのに、
ふたりしか紹介していなかった。
もうひとりは、トーブラー氏が心配で心配でしかたなくて、
自分も「石油王」ってことにして、
ホテルにやってきてしまった、
トーブラーさんのうちの執事のおじさん。(おじいさん?)
なんだか、この紳士たち、本当に
かわいらしいんだなあ。
実はこの、大人向けのケストナーの本は、
この本の他に二冊でていたのを、
カバーを見て思い出してしまった。
もう二冊は、「消えうせた密画」と「一杯の珈琲から」。
どっちもおもしろそう。
すぐ手に入れなくては・・・。
それでは。
さんきち
さんきち Presents [ さんきち なぞ図書館]
All rights reserved by さんきち & SAKRA 2005 |