第89回 「張先生の写真教室〜その3〜」
今日から2月に突入。
最近は1日1日が大切で仕方がなく、
今年もあと11ヶ月しかない、がんばろう、と
少しおもうニホンコン。
1月はたくさん写真展に行き、たくさん映画を観て
いろんなものが貯まりました。
そんな貯金を、写真で全部使ってしまえ!とばかりに
炸裂したくてたまらないのです。
写真と言えば、張先生との時間は
いろんな意味で勉強になりました。
先週からの話の続きを・・・
「写真を撮りながら食べたもの/タマゴボーロは懐かしすぎ」
張先生たちとの1日観光は
一言でいうと「写真教室」だった。
まずはこうだ。
1「場所選び」
風景写真なんて簡単じゃん!
だって人物と違って「動かない」んだもんね。
と豪語していた私は甘かった。
風景写真とは「一日の動く太陽との追いかけっこ」なのだ。
張先生はドライバーに指示して目的地に付いても
「影の具合がいかん!夕方また来るぞ!」
といいながら、また別の場所へと車を流させる張先生
ドライバーも「僕、写真のことも光も影も全然解らないってばー!」
と逆ギレしながら元来た場所に戻ったり。
張先生はあきらめず、後ろでグウグウ寝ている私たちを
横目に必死で場所探しに奔走していた(させていた)。
風景写真って大変ね。
2「着くないなや、ポイント探し」
適当に撮っていると、センセイからゲキが飛ぶ。
「ここがいい!」とひっぱられてセンセイお好みのポイントで
撮らされる。「この角度がステキなんだ!」「光の加減が」
など、横でブツブツ言っていた、全然興味なかったが。
「右下にいるのは必死な様子の張先生」
3「写真は偶然の産物ではないのか?」
これは張先生と一番議論したかった項目なのだが、
そもそもの考え方が違いそうだったので、辞めることに。
私はそこに出会ったものを一瞬で撮ろうとしてきたが、
張先生は全く違う方法で写真を撮っていた。
「ちょっとそこの女と牛!もう一度そこから歩いて!!」
などと、少し(いやかなり)の演出をさせるのである。
これはもう「ヤラセ」の域。
ま、色んな人がいるから別にいいのだけれど、
一番気に入らなかったのは「ひとり◯◯元払うから!」と
お財布を取り出したこと。
風景や写真の中身は、お金で買うものではないし、
絶対友好的撮影を掲げてきた自分にとってはビックリだった。
今後このような写真家が増えて行くと、
中国で写真が撮りづらくなることは目に見えている。
写真は「偶然」を「見つける」こと。
私はこれを曲げないで行こうと思った瞬間だった。
そんなこんなで、一日が終わった。
途中雨も降り、震えながらも、最後はキレイな夕焼けでしめられた。
その夜、4人で円卓を囲みながら
「今日は8ロール撮った」と息まく先生に
「何用ですか?」と聞いた我々。
「次のコンテストに出すつもり!!」
と鼻をふくらませて興奮していた先生を
私は今でも忘れない。
最後に張先生、手紙を送ってくれたのは嬉しいんですが、
「ひとことくらい何か言ってください!」
せっかくのエアメールなのに、無言とは寂しいです。
「右下は張先生が撮ったニホンコン。『うっとりして!』という
リクエストにそんなもんできるか!と思いながらしたけど雰囲気まるでなし」
2月1日 坂下日本/香港
![]() |
Kaori Sakashita Presents [ サカシタニホンコン ] All rights reserved by Kaori Sakashita & SAKRA 2005 |