第87回 「張先生の写真教室〜その1〜」


ニーハオ。
ニホンコンです。

旅から戻り1ヶ月も経って、
年まで越してしまったことに罪悪感を感じ、
先週、慌ててお世話になった北京の老夫婦や
旅で出会った外国の友達に写真を送ったニホンコンです。

そして、世界の中の同じような考えの人から
同じようなタイミングで手紙が届きました。
先日届いたエアメールは旅で会った中国人写真家のオジサンから。


(中国の屋台)



(虫類は豊富)

そういえば旅の中で思い出深かった、
「現地の写真家から手ほどきを受けた話」を。

雲南省、元陽
すばらしく美しい棚田の絶景は
沢山の「写真愛好家」に人気のスポット。

ま、いわゆるあれだ。
風景写真ってやつだ。

ニホンコンは風景写真には殆ど興味がないので
キレイな景色でも見るかな、という軽い気持ちで赴く。

但、ここには行く予定が全くなかったので、
行けばなんとかなる精神でバスに飛び乗り
バス内で見つけた台湾人の女の子を捕まえ、
ニコニコしながら後ろをついて歩き、
彼女が探していた宿、しかも同じ部屋に
ちゃっかりチェックイン。

彼女にとってみれば、ヘタクソな中国語を喋る
ガイドブックも持たない隣国人が
一緒の部屋の転がり込んでくるなんて
ほとほと迷惑な話だろうが。

ま、旅なんてそんなもんだろうと。

丁度そこにでっぷりした写真愛好家らしき男性と
ヘナヘナの荷物持ちみたいなヤセ男が一人、到着。

翌日の棚田コースを2人で話していると、
「全員でタクシーをチャーターしたほうが安いから
一緒に回ろう」とさっきのヤセたヘナ男が声をかけてきた。

女子2人でこのド田舎山岳地帯をウロウロするのもなんだったし、
何より2で割ったより4で割ったほうがタクシー代も安いと快諾。

そうして、台湾人、中国人2人とサカシタの4人で
グループを組むことになった。
もちろん共通言語は中国語(北京語)で
ニホンコンだけがアウェイ。
旅は道連れ、世はチャイナ。まったく。

但、タクシー代が安くあがることに
喜んだのも束の間、さっそくこの2人と
組んだことを後悔したニホンコン。

なにせ、「明朝4時50分ロビー集合」なのだ。

何でも、このお方は中国でも有名(?)な
写真家の方らしくご立派な名刺を頂き、
明日の一日に写真生命の全てを注ぎ込むという意気込みよう。

「じゃあ、『張先生』と呼んでいいですか」

私たちがそう言うと、
女子2名に羨望の眼差しを向けられた張先生は
「好!(ハーオ!/いいですよ)」と
大きな鼻の穴を膨らまして、それはそれは満足そうだった。

明朝は、日の出時にキラキラ輝く黄金色の棚田撮影が
この写真ツアーのハイライトとも言えるらしく、
場所取り時間も入れて真っ暗の中出発するという。

そんなもん、これっぽっちも興味のないニホンコン。
風景写真の奥深さの扉に手をかけたような気分で
やれやれ、明日だけは堪忍して私も一日風景写真愛好家となるか、と、
その夜はカメラを磨いたり、フィルムを入れ直したりしてみる。

次の日の撮影話は、長くなるのでまた今度。



1月18日 坂下日本/香港




Kaori Sakashita Presents [ サカシタニホンコン ]
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