ニーハオ。
これを読んでいる頃には、もう中国の青空の下と思います。
ニホンコンです。
古巣といえど、旅をする機会ができました。
旅できること、そして周りの人に 感謝。
リュック1つの旅を初めて
今回はこれで、3回目。
旅の目的は、
もちろん色んなものを見たり聞いたり
食したりしたいのですが、それだけではなく。
楽しいだけじゃないのは、覚悟しております。
重い荷物を持ってトボトボ歩いたり
安宿のペラッペラの毛布に縮こまるように寝たり
汚いガタガタのバスで何時間もゆられたり。
ニホンコンの旅は、いつもこんな具合。
お世辞にも快適とはいえません。
また、ひとり旅は、恐ろしいほど寂しかったり、
長くなればなるほど、やる気がなくなったりする時もあります。
ひとりでご飯を食べなくてはいけないし、
決まった話相手もいません。
数冊の本と日記だけが唯一の日本語。
こんな旅をナゼするのか。
別に初めて海外に行く学生でもあるまいし、
旅をしても何かが見つかるわけではないというのは、
過去2回の旅で、もう解っている筈なのですが。
但、ニホンコンを旅に誘う唯一のキーワードは
「感覚」ということば。
いろんなものに豊かになりすぎて、
周りにあるものへの素直な感覚を忘れがちな毎日。
雨の日の室内は、なんだか落ち着くとか
雨上がりのアスファルトの匂いが、懐かしいとか
秋の夜長のどうにも切ない風とか
泣きそうになるくらい青い空とか
「何も考えない」ことを 必死で意識してみたりとか
ひとりでなければ考えないような
感情の奥の そもまた奥底のことなど。
そういう自分の中の「感覚」というのかな。
そういうものを
ちゃんと持っていたいのです。
私にとって、写真と撮るという行為は
これらの「感覚」と真正面から
向き合うことだと思ってます。
そこに気づいているか?
通り過ぎていないか?
立ち止まってその瞬間を切れているか?
もうひとりの自分がそう問いている気がします。
日本でそれができるかというと、
集中力散漫な私には、到底出来ません。
TVをつければ、誰かがそこそこ面白いことを喋っている。
道を歩けばコンビニがあり、
街には美味しいものが溢れていて
携帯やメールのような連絡ツールも充分。
こんな毎日の中で
感覚がどういうものか、考える余裕は
残念ながら私にはありません。
そうこうしている間に、何だか忙しく
写真を撮りたいとも思わなくなる
イコール、無感覚になるのがイヤなのです。
「ひとり」で旅することで
周りの空気や音や色を素直に受け止め
自分の感覚というものを磨ぎ、
そして敏感でありたいと思います。
それが、旅の最大の目的なのかもしれないし、
自分が生活していく中でのテーマなのかもしれません。
ニホンコンの旅は毎回、結果「ガ、ガーン」な旅ではありますが、
最初からそうしたくて行っているのではありません。
人からみればつまんない理由かもしれませんが、
私にとっては大切だったりするのです。
10月26日 坂下日本/香港
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