第65回 「シルクロードの果ては」


ニホンコンです。

告知ごとや、手書きニホンコンなど、少し間が開きましたが、
ようやく落ち着き、また今週から少し、中国旅の話ができそうです。

今日は地獄の電車を降りた後、たどり着いたシルクロードの果てでの話です。




恐ろしかった汽車の旅も、これで終わり。
ようやっと都市のウルムチに到着。

ウルムチというのは、中国の最西端、「新彊ウイグル自治区」の省都。
モンゴル・ロシア・カザフスタン・キルギスタン・パキスタン・インドの8ヶ国と
国境を接してるなぞ、日本人の私には考えられないようなお土地。

かなり昔から隣接国とは交流があったのか、姿形が中国人というか、トルコ人。
ナンやシシカバブを主食とし、文字もミミズがのさばった様な
アラビア文字を書く。この人たちは「ウイグル族」という。

そして、殆どの人がイスラム教という、中国に居ながらにして、
全く別世界に来てしまったのである。

ニホンコンが中国語を勉強したのは、何だったのか?と思わせるほど、全く通じず、




「旅行会社の領収書。上がウイグル語で下が中国語表記」


買い物ひとつとっても、ニホンコンよりヘタクソな中国語でで
「ちょっと待って」と言っては奥に入り、長老みたいな人を連れて来る。

要は、その店では、長老しか中国語を話せないのである。

「オーオ、キミノ、チュウゴクゴハ、ウマインダネ」

と、褒めてくれたりする。

そして男性陣もやたら積極的。掘りの深-い端正な顔立ちで、
濃ゆい眉毛をゆらゆらしながら、「オ〜 アナタハ キレイネ〜」と寄って来る。

そりゃ、こんな奥地で日本人の女の子2人がチョコチョコしていたら、
そりゃ目立つだろう、と思いながらも、
あまりにチヤホヤされるので、結構舞い上がる。




「町のカセットテープ屋さん。王子様の出現にビックリ」


それで、ひとしきり良くも悪くもカルチャーショックを受けた後、
ここからはバスでの移動をすることに。

ニホンコンが目指したのは、カザフスタン国境寄りの湖。
なんでも「天国の湖(HEAVEN LAKE)」と呼ばれ、朝昼晩と、
その湖の色が変わり、それはそれは美しいとのこと。

もう、ここまで遠くまで来れば、もうどこまででも行ってやる!
の精神で、一路深夜バスに乗り込む。

そのバスは車中1泊で、朝には現地に着くとのこと。

ガタガタのバスに乗り込んで、いざ出発したのも束の間。

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁぁ〜〜〜!」「お、降ろして〜〜〜!!」

このバスの旅は、ニホンコンが選ぶ「死ぬかもしれないベストテン」に余裕のランクイン。

その理由はというと

1、スピードが尋常じゃない。
おんぼろだから余計に体感速度が速く感じるのかもしれないが、
その飛ばし方は普通じゃなかった。

2、しかも、一本道とはいえ、あたり一面「まっくらやみ」。

3、さらにいうと、よせばいいのに前のバスに「ぴったり」くっつくように走行、
というか暴走。その車間距離は3メートルあらず。

4、そしてニホンコンたちの席は運転席の真うしろ。つまり「一番前」

これは生きた心地がしなかった。

だってよ、運転席から見える景色といったら、デカイバスのオシリのみ。
そのデカイオシリがちょっとでもブレーキを踏もうもんなら、
もううちらはひとたまりもナイ訳であって・・・

あああ、想像するだけで身の毛がよだつ。
あまりにもそのスピ−ドが強烈だった為、ニホンコン、横の相方に尋ねてみる。

「ちょっと、今何キロ出してるかメーター見て」と

彼女が運転席を覗き込み、メーターのメモリを「そのまんま」読んでくれた。

「20キロだってさ」

う、うそつくなーーーーーーーー!!

んなワケあるかいな!このスピードで!

ちょっと待ってよ20キロってさ、自転車で飛ばしたら出る速度なんだけど、
坂道でペダルこがないとそんなスピード出ないから結構スリル満点でコワイんだよね・・・

なんて言ってる場合じゃない。

このバスがおんぼろバスじゃないことを察するニホンコン。
いろんなところが「壊れている」んだよ、簡単にいえば・・

この時本気で死ぬかもしれないと思ったニホンコン。
ただ、ニホンコンは「乗客」にすぎないため、自分ではどうすることもできず。

ほんと、人生なんて紙一重だということを、身をもって知る。

できることは只ひとつ。
「実在のヘブンレイクに着いてください」と祈るのみ。

坂下日本/香港


8月2日 坂下日本/香港


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