第50回 ニホンコン写真館〜人物撮影ノススメ〜


先週は実家におりました。坂下日本/香港です。
実家では、母親がセッセと普及(いや、布教か?)活動を行ってくれているおかげか、
「楽しく見てますよ」と声をかけられたり、
はてまた「ちょっと!ニホンコン!もっとオヨヨな話をしなさいよ!」と
刺激に餓えたオバサマたちから不満の鉄拳が飛んできたり。

それ自体がオヨヨなのではないかと思いながら家路につきました。ああトホホ。

さて、今回は写真館2号店。
ニホンコンが最も好きで、こだわっている「人の写真」を紹介/解説します。
人にススメられるほどでもないのですが、
半分命を賭けて撮りに行っているところがありますので、
少しお話くらいしないと浮かばれないような気がして。

思うに、これは写真のギジュツ云々じゃないんです。(お、言い切るか?)
言うなれば「体当たり」。もうぶん殴られるかもしれないし、
追い出されるのは覚悟の上ですので、
心臓、気の弱い方はマネしないでください。

さて、ニホンコンが心掛けているのは、以下の4つ

1、図々しいこと

のっけからこんなこと出ましたが、もう、これにつきるのではと思っております。
旅先では「厨房に必ず入る」「人ん家に上がりこむこと」
「そして至近距離で」ばかり目指しており、
人々から「これがアジア以外だったら撃たれてる」と言われてます。



「これはニホンコンの『あんた肉屋さんなんだから、ニワトリさん!持って持って〜!』
のジェスチャーに応じてくれました」



2、スマイル

警戒心を抱かれたら、環境はオッケイでも、怒っていたらハッピーに撮れないので、
ひたすら「こちらからスマイル」。ま、雰囲気はこんな感じだ。

例:オー!ワタシ ニッポンカラ キタノデスガ
チョット マチガエテ ココニ ハイッテシマイマシタ〜。
デモ ココ トテモ ステキ
アナタモ ステキ チョット シャシン イイデスカ?

と、ワザと入ってきたのが100%バレバレなくせに
「ちょっと困った外国人」になりきるのです。

こういう時、だいたい海の向こうからワザワザ来た旅人を追い払うほど、
鬼ではなく、むしろ「なんだなんだ」と好奇の目で寄ってきてくれることが多いですね。

ただ、度が過ぎると、ニホンコンがよく行く土地の13億の民は、
えてして暇なので、すぐに黒山の人だかりになり、ヤレ山口百恵を歌ってくれだの、
テレサテンを一緒に歌おうなぞと、余興に走られるので、逃げ足も早くなければ。

また度が過ぎなさすぎて、本気で追っ払われたりしたことも多々。



「これは写真集にも入っていますが、朝7時に散歩中に見つけた
古〜びた家にいきなり飛び込み、そこのおじいちゃん
おばあちゃんを死ぬほどビビらせたニホンコン
『いやー、日本から来てね、リアル中国な生活を撮りに来たわけですよ』と長々と語り、
すっかり打ち解けた後は『我が日本の娘、また帰っておいで』と一筆書いてくれ、
笑顔で送り出してくれたおじいちゃん。また会いたいな」



3、一瞬で撮る

人の顔なんて瞬間瞬間で変わるものです。
それって私たちが「オモシロイ!」って笑っても、ものの数秒だと思うのね。
しかも私が写真目的で近付いていく人たちは言葉と週間が異なる初対面の人々。
向こうが心を開いて、通い合う時間なんて、ほんと瞬きくらいだと思っている。

なので、ニコッとしたその一瞬を逃さない。
この時に電源が入っていなかったり、キャップが外れていなかったりすると、
「ハイ、アウト。時間切れ」となってしまうのです。
もうそんな時は叫びたい気分になります。



「左の彼はスマイル〜、右の彼は相当ムッとしてましたね」




4、図々しく「盗撮」

ニホンコンが被写体とする一般の人々は、普通カメラなんて慣れていないのが当たり前。
なので、毎回毎回立ち止まってもらうこともできないのです
それに、普段の町並みなんてのは、こういう人たちの普通の姿で溢れているのですね。
盗撮、バンザイ〜!



「気付かれたらどうしよう、と少しビビる」




「手をつないでいるお父さんには、一応目配せで『この子撮るワヨ』を語ったつもり」



「もうこのおばあちゃんにどこまでもついていく、まるでストーカーでした」


自分で書きながらも、あの頃の記憶が蘇り、どっと疲れております。

ま、いいんです。
こうして写真を撮るのが、楽しいんですから。

4月7日 坂下日本/香港



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