さんきち なぞ図書館
君について行こう 上・下
こんばんは.。
どうやら風邪をひいたらしいです。
今朝、目覚めたときに、
「ちょっと喉がくすぐったいなあ、咳がでそうでいやだなあ」と
思ったばかりだというのに、
急激に、(いまその日の夜ですが)、
つばを飲み込むのがきつくなってきました。
こうなると、これまでの経験上、
一気に熱があがって、高熱に発展してしまうはず。
あーあ。いやだなあ。きっついなあ。
「こんな急に寒くなったりしたら、風邪もひくよね」というのが、
ありがたい、あたたかい言葉で、そりゃそうだけれども、
今年の冬は、どんな事情もゆるさず、
「気合」で風邪をひかないのだ、と決めていたのに、
まんまと、普通に、あたりまえの事情で風邪をひいてしまいました。
あーあ。残念。
そして、これ、さらにくやしいことに、今回で二度目なのです。
全然だめですな。
一度目のときに、懲りずに、
「今回のは、まあ、しょうがない。一度くらいはひくさ。
でも、もう今年は二度とひかないぞ!ほんものの気合で!」
と決めていたのですが、
まさか二度目がその一ヵ月後にやってくるとは・・・。
わたしのほんものの気合は、そんなもんか。
くやしいなあ。へなちょこだあ。
ということで、熱があがる直前のわたくし、
風邪菌との、熱い戦いの火蓋が切って落とされる直前のわたくしですが、
もうすでに、明日の午後の勝利宣言を予想して、
熱はさがったけど、体力回復までだらだらねっころがっている・・・ときに読む、
「ザ、風邪本」を紹介してしまいましょう。
さて、わたしの長年の定番である、「ザ、風邪本」は、
前に紹介したこともある、「シャーロックホームズ」で、
いつもは、ふとんの中に居ながら、霧深いロンドンに旅立ってしまうのですが、
明日読む風邪本は、それとはちょっと違う予定。
なぜなら、いま、夢中で読んでいる、
あの本があるからです。
はやく続きが読みたいなあと、いまからワクワクしているのです。
「君について行こう 上・下」 向井万起男 著 講談社+α文庫
この本は、ひとことで言うと、「傑作!」な本。
傑作といっても、「人生の最高傑作・・・」というような、
堅苦しい「傑作」ではなくて、
「あの人って、ほんと、傑作だよね!」の傑作。
だれかに、この本のこと、
「あの本って、ほんと、傑作だよね!」と言われたら、
即座に、「ほんとにそうだよね!!」 って、うれしくなって答えちゃう。
そんな本なのです。
だってねえ、おっもしろいんだあ、これが。
ええと、なにがおもしろいかというと、
マキオちゃんとチアキちゃんだ。
マキオちゃんとは、作者の「向井万起男さん」。
そして、チアキちゃんとは、
マキオちゃんの妻の「向井千秋さん」のこと。
この「向井千秋さん」って名前きいたことありませんか?
日本人初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんのことなのです。
簡単に言ってしまうと、
大学病院のお医者さんをしていた向井千秋さんが、
無邪気にも、一般の人でも申し込める宇宙飛行士の募集にとびついて、
「よ〜し、がんばるぞ〜」と宇宙飛行士をめざし、
ほんとに宇宙飛行士になって宇宙に飛び出してゆくまでの道のりを、
夫の向井万起男さんが、つづったエッセイ。
こう書いちゃうと、普通でしょ?
でも、全然普通じゃないんです、これが。
まず、この本には、ふたつの魅力があって、
ひとつは、「宇宙飛行士って、こういう仕事なんですよ。こういうことをしてるんです。」
ということが、しっかり、とてもわかり易く書いてあるということ。
なんで、それが、こんなに詳細に、且つわかり易く書かれているのか、
・・・というと、それは、作者のマキオちゃんが、
もともと宇宙関連オタクなのと、
病理診断部のお医者さんなのもあって、
(患者さんのから採られた検体を、顕微鏡で覗いて診断する仕事なんだそう。)
宇宙実験だとか、スペースシャトルだとかの理系のことがらを、
しっかり理解したうえで、
わたしたちに説明してくれるから。
そこの部分、科学好きの小学生のように、
食い入るように、読んでしまいます。
すごく面白い。
科学好き必見。
でも、ここまでだと、すごく面白いけど、傑作!とまではいかない。
この本を傑作にしているのは、
この本のもうひとつの魅力、
マキオちゃんとチアキちゃんの人柄です。
このふたりが、とにかく傑作なのです。
「こんなに仲いいんだから、ふたりは結婚しないと損だよ!」と、
チアキちゃんの妹に言われて、結婚したふたりなのですが、
どちらも、相当な変わり者。
この人たちの傑作なところをどういったらいいだろう。
うまいこといえないけれど、
「きれいな大人」といった感じかなあ。
しがらみとか、世間体とか、常識とか、
全然身にまとっていない。(とくにチアキちゃん)
そんで、開けっぴろげで、正直で、深刻でないんだよなあ。
(これは、マキオちゃんもチアキちゃんもどっちもだ。)
読みながら、何度も笑っちゃった。
毛利さんもそうなんだけど、
向井千秋さんの笑顔ってみたことある?
これが、とてもいい笑顔。
あんな無邪気ですてきな笑顔をする人が、
一体どういう人なのか、
そして、その旦那さんが、どういう人なのか。
この本を読むとよくわかる。
こうでなくっちゃなあって、うれしくなるよ。
あー、はやく続きが読みたいなあ。
はやいとこ風邪菌全滅させなくちゃ。
なぞ図書館司書 さんきち
(ちなみに、この上下巻のあとに、
「続・君についていこう」というのが、一冊あって、
全部でこのシリーズ、三冊あります。
いま、わたしは、その三冊目を読んでいるところ。
チアキちゃん、宇宙から帰ってきたところ。)