第37回 サラリーマン生活よ、さようなら

連日連夜の忘年会と、サヨナラ会が、昨日終わった。今年分は。
(新年会に持ち越されたのが既に3件あるが)
そして、ニホンコンの会社員生活も、残りあと3日となりました。

ニホンコンは、CS放送の音楽専門チャンネルで3年半働いておりました。
朝から晩まで音楽番組やミュージッククリップが流れてる、そんなチャンネルです。

思えば3年半前、就職を機に東京に出てきたのが、25の時。
一応香港にて2年半ほど働いていたので、中途採用の身ではあったが、
「日本での社会人経験がゼロ」
という、圧倒的不利な条件を背負ってでの、スタート。

まず、電話の受け答えが分からない。
香港では通常電話の応対を英語を行っていたので、
日本語でどういうか、またこの「奥ゆかしさ」を表現できなかったワケです。
「お世話様です」ってナンダ?
「ただいまリセキしております」ってナニシテルノ?
「私にはワカリカネマス」ってワカッテルの?ワカッテナイの?
もう疑問が疑問。見よう見まねでやっておりました。

あとは、東京に馴れるのが大変。
打ち合わせだったり、待ち合わせをするのにも
「オモサン(表参道)の交差点を明治通りに沿って歩いて」
って、オモサンが表参道だってことだ分かったくらいで、20点。
「外苑前のベルコモンズ(交差点にあるちょっとしたデパート)で待ち合わせ」
と言われた時には本気でオイシソウなチョコレートの名前かと思ったくらい。

ここまできて、既にトホホな滑り出しなのだが、極めつけのトホホは
「経験者、といっても香港のマーケットでの経験者なので、
日本の市場については、ワカリマセン」状態。

ニホンコンは香港で広告という分野の仕事をしており、
今いるのは放送局の広告部門にいるのですが、その仕事内容は全く異なるわけです。

ま、例えるならハワイでタロイモを作ってた人が、
いきなり新潟で米作りをはじめるよなもので、どちらも「農業です」といいながらも、
その性質は全く違うようなものかな。

これには採用陣、腰を抜かしてビビったようだ。
実はニホンコン、入社前、社内で「香港からバリバリのキャリアウーマンがくる!」
と盛り上がられたらしく、現場の若手なぞは別室によばれ
「あなたたちも負けないように頑張らないと!」と喝まで入れられてたらしい。

そんなのこっちにとってみれば、いいメイワクなのだ。
日本で新しくイチからスタートしようと思っただけなのに、
勝手にイメージをつけて騒いでいたのはそっちで、勝手に落胆されても困るのね。

と、あくまでマイペースで通そうと誓った。

入社3ヶ月で、「こいつは新人だ」と烙印を押され、
(こっちにしてみりゃ、そのつもりで入ってきたのだから、
あたりまえ。ニホンコン風に言うと、烙印でなく、
「認定」だよ認定)ようやっとイチからスタートできたわけです。

今でも笑い話で出てくるのは「あの時は騙されたヨ」と。
当時採用をすると、山のように履歴書は来るが、
すべて「オレ、音楽好きッス!」みたいなバンド小僧ばかりが集まってしまい、
採用陣もそれに辟易していたそうな。

しかも、その時の採用は、何百人と面接したにもかかわらず
「今回は該当者なしの見送り」を取ろうと思っていたらしい。

そこに、採用試験は終わっていたものの、ニホンコンが速達で送った履歴書と、
当時香港で書きためていた「坂下香港」という自作フリーペーパーを見て、
人事部がその日に連絡をくれたのだ。

んで、ニホンコンの面接は大風呂敷に大風呂敷を重ねる大プレゼンとなり、
一応「キャラ勝ち」ということで見事合格〜。

入社した時の部長はその頃を振り返って
「これは当たるか当たらないかの大賭けです」と言っていたそうな。

んで、当たるほうに賭けたら、結果ハズレ。
御愁傷様・・・
ニホンコン思うに「見抜けなかった人事のミス」。

そんなひどい滑り出しの生活も、周りの愛のムチだったり、
色んな人に支えられながら、汗と涙と深夜残業の3年半を過ごすことができました。

この生活があと3日だと思うと、気持ちの中では、
嬉しい半分、ちょっと寂しく思えるこのごろです。

次はどういう形で働くのかはまだ未定ですが、一つだけ入れるのは、
「等身大の自分でいよう」ということ。
風呂敷の広げ過ぎは、後々しんどくなります。

ただ、もひとつ言うとするならば、「やってみなきゃワカラナイじゃんか!」。
何事もやってみないと良いも悪い分からない。

どういうものか全然分からないけど、とりあえずやってみたい!
から始まり、あとは気持ちだけで突き抜けていった、
音楽という世界でのニホンコン会社ライフ。

後悔は全くナシ!3年半、走り抜けた結論です。


手前のカエルがいる場所が、ニホンコンのデスク


これは、午後1時10分ではでは ありません

12月23日 サカシタニホンコン
(ご意見ご感想はこちらまで)



Kaori Sakashita Presents [ サカシタニホンコン ]
All rights reserved by Kaori Sakashita & SAKRA 2003