月一更新が定例になってしまっているこのコーナー。一か月ぶりれいじです。
最近見たものを紹介しますといって早2か月。本当は映画館で上映中の作品を紹介するつもりだったのですが、ネタばれすると、これから行くつもりの方にご迷惑がかかると思い、あえて最近見たビデオの紹介にします。
「ベッカムに恋して」監督:グリンダ・チャーダ 2002年:イギリス
B級映画の代表のようなタイトルですが、意外や意外、面白い作品に仕上がっています。
インド系イギリス人の女の子が女子サッカーにはまって、宗教や家族を超えて、夢と希望に燃えるというお話。大雑把にいうとね。
監督のグリンダ・チャーダさん自身がインド系イギリス人女性ということもあって、宗教観や文化の違いなんかがリアルに描かれています。
妹が金髪のにいちゃんと町中でデートしてるだけでお姉ちゃんの縁談が破談になる、みたいな、上流階級のインドの家庭でもやっぱり宗教の壁があるんだなぁと思いました。まぁでもそんな事もあるものの夢にむかって突き進む女の子の姿を基本的には明るく丁寧に描いています。秀作です。
しかし邦題が納得いかないですね。なんで「・・・恋して」になっちゃうのか分からない。原題「Bend it like Beckham」は直訳すると「ベッカムみたいに曲げろ!」って意味。
なんか安っぽくなってないですか、「恋したっていいじゃない」なんてビビる大木でもあるまいし、なんでも年頃の女の子は腫れたの惚れたのいっときゃ食い付くとでも思ってつけたのでしょうか。
「曲げろ!」って方がなるほどねぇなんて思います。ベッカム自身も恋はして欲しくはないだろうしね。
邦題には様々な思惑や意味があって、ニュアンスを伝える為にあえて直訳とはずらして付けることがしばしば。
以前に触れた作品でも、「今を生きる」は原題「dead poets societies」。直訳は「死せる詩人の会」である。これは「今を生きる」の方が作品の良さを日本的にアピールできるものだと思うし、作品の中で実際に出てくる台詞やテーマでもある。
ほかにも「きっと忘れない」という映画は、「With Honors」直訳「優秀な成績で大学を卒業した人たちへ」だ。直訳でちょうど良い日本語がない事もある。それは仕方がないことだと思う。ただ「ウィズ オナーズ」とカタカナにすれば良かったんでない?とは思うけどね。
そんな訳で、邦題に負けることなくビデオを手に取っておいて良かったと思った1本。今の日本で宗教や恋や仕事でこんな問題が出ることはないとは思うけど、それを置いても女性が一生懸命に頑張る姿に共感できるはず。
女性だけでなく、男性にもお勧めできる1本ですよ。
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