ひとり暮らしをしていると、ひとり言が多くなるらしい。
私は現在ひとり暮らしをしているが、実際そうだろうかと疑問に思い、注意してみることにした。
その結果、頭の中で様々な事を思ってはいるものの、それを実際に音としては
発していないようである。
むしろひとり言どころか、
その日一日何も話していないという事実に気づいた私は、ハッとした。
もしかして、何もしゃべれなくなっているのではないか。
とりあえず「あ〜〜」と、誰もいない部屋の片隅で無意味な言語を発してみた。
そしてその夜、バカバカしい不安から開放された私は、やすらかに床についたわけである。
人は実際に言葉として発しなくとも、様々な事を考えている。
それをリアルに台詞にし、ひとり芝居にした俳優がいる。
イッセー尾形である。
彼が演じる人物は、どこにでもいるような普通の人である。
それは、電車の中でよく見かけるサラリーマンだったり
行きつけの店のバーテンだったり
あるいは、自分自身の姿かもしれない。
彼の芝居を見ると、誰もが一瞬ぎくりとしてしまうのではないだろうか。
そして、思わずふきだしてしまう。
彼の芝居を社会風刺としてとらえる意見もあるようだが、
私は愛すべき日本人、愛すべき人間として表現されているように感じる。
イッセー尾形の舞台を見たことがある人は、知っていると思うが
彼は一つの演目が終わっても袖に戻らず、そのまま舞台上で着替える。
着々と衣装は着替えられ、それが完成した時に
前のキャラクターをひきづっていた客は唖然とさせられる。
彼の人格(正確には演じている人物の人格だが)が、衣装と共に完全に切り替わっているからである。
ブラボー!!
海外公演も行い、好評を博しているようである。
日本を代表する喜劇俳優だと思う。
ジャンルも芸風も違うが、以前に取り上げた「劇団ひとり」も
人間観察という点において、イッセー尾形と通じるものを感じるのは私だけであろうか。
今後に期待したい。
余談ではあるが、
地道に応募し続けた甲斐あって、笑点観覧が当たり、先週後楽園ホールまで行ってきた。
華は、テツandトモと落語家の鈴々舎馬風(←知りませんでした)。
そしてもちろん、大喜利も観てきた。
「えーー!」と思うほど、物事は淡々と進められ終わっていった。
遠くで眩しく光る舞台が、まるで一枚の絵画のようで
いつもの帰り道が少し違って見えました、、、。
千田なつみ Presents [ 笑い道]
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