第28回 ニホンコン イズ ニホンコン

今月から月1回の写真教室に通うことになりました。
第一回目は先週土曜。
センセイは、ニホンコンがかねてから気になっていた「島尾伸三」さん。
かつて、娘の写真集「まほちゃん」を出版以来、
奥様とライフワークの一環として、中国や香港の人々を撮り続けて今に至るのです。

タイトルにやられて入会したのですが、それが
「島尾伸三の私的写真術」
しかも、カメラは不要。

なんじゃ、そりゃ。でしょ。

ちょっと気になって行くことにした。
生徒は、蓋を開けてみたらワタシ入れて3人だけ。
しかも、1人は前講座からの継続だから、
新規で入ってきたのは、ワタシともう一人のおねいさん。

ミスター寡黙な、センセイは、始まりと共に、ぽそりと言った
「ようこそ そして 残念でした」

もしかして、辛気臭い講座に入ってしまったか?
とりあえず、張り切って持っていったノートとペンをおずおずと取り出す。

センセイは二日酔いのせいか、もしくは性質上か、
ボソリボソリと言葉を選びながら、ゆっくりゆっくり話を初めてくれた。

カメラは持っているのか?
どんな写真を撮っているのか?
この講座に入った目的は?
何を学びたいのか?

第1回目は「芸術とは何か」というお話。
ニホンコンは、そもそもゲージツのゲの字もないような人間なのだが、
この話は流石に面白かった。

詳しく話すと、山口フォトを飛び越えるくらいになるので、やめとするが
写真について、要はこんな内容の講座なのであった。

「写真の技術云々は、いくらでも教えるところはあるけれど、
自分は何が好きで、何を撮っていきたいか、つまり『いかにして生きていきたいか』
がそもそも分からなければ、長続きはしないし、売れもしないし、
売れたところでしんどくなるだけ。大切なのは、己のスタイルなのである」

2時間の講座をたったこれだけでまとめるのは、いささか乱暴ではあったが。

ふ、深い。
そして、オモシロイ。
目の前にあるモヤみたいなものが、少し晴れた気がした。

ニホンコンは、今年一年、いろんな人に写真を見せ、いろんなところで
発表し、勿論いいねと言ってくれる人もいたが、同じか それ以上にいろんなことをいわれ、
いろんなことに傷つき、多くのことにもがいていた気がする。

で、そもそも写真が好きなのか分からなくなったり、
この情熱はハードな仕事の反動ではないかと疑ったり、
何がしたくて続けているか分からなくなったり、
写真がとれない自分にイライラしたりしていた。結構長い間。

今は少し前が見えた気がして、ちょっと嬉しかったりする。

来年、いや長い目を見て、ニホンコンの写真に対する考え方を、
ここできちんと見直すキッカケを作ることができて、よかったなあと思う。

好きなことを
続けていくってのは
簡単なようで、実は難しい。

欲も出るだろうし
落ち込むことはあるだろうし
毎日の生活に忙殺されることは多々あると思う。

ニホンコンは結果を早く出したくて急いでいた一年でした。
ただ、その結果ってのが、どこに向かっている結果なのかを
ちゃんと見ていなかったため、同時に苦しかった写真ライフでした。

なんでもそうですが、真ん中に太い芯が入っていなければ
すぐにポキッて折れでしまうんですね。

今は焦らず芯固めでもしようかな。

ニホンコン事ではありますが、この12月末を持って、
激務だった放送局の仕事を辞めることになりました。

理由はいろいろあるのですが、とりあえず一旦リセット。

来年からは、も少し余裕を持っていろんなものに接して、
感じて、考えていければと思ったりする。

ニホンコン イズ ニホンコン。
これがニホンコンの私的写真術なんだろうと思った。

来年からのニホンコンに、ご期待あれ。




PS:その写真講座第一回目では、「天才への近道」なるものも教えてくれたのですが、
ま、それは受講料を払ったニホンコンのみの特権とす。

PPS:断っておくが、通っているのは「自己啓発セミナー」ではないことを誓う。



Kaori Sakashita Presents [ サカシタニホンコン ]
All rights reserved by Kaori Sakashita & SAKRA 2003