秋のナツメキネン号
みなさんこんにちは。
秋の訪れとともに、我が家にとうとうやってきたナツメ。
この到着を記念して、今回のなぞ図書館は、
ナツメ特集でまいりたいと思います。
そもそもこのナツメ時計はなんなのかと申しますと、
新潮文庫の、YONDAキャンペーン、
「よめばかならずもらえるプレゼント」
に応募してもらったものなのです。
新潮文庫のカバーのはしっこのマークを切り取って送ると、
10冊分なら10冊専用の、50冊分なら50冊専用の賞品が、
もれなくおうちに届くのであります。
(ちなみに、新潮文庫YONDA?のサイトはこちら)
ほかにもいろいろな品はありましたが、
なんといってもナツメ時計でしょう。
この時計を発見した私は、
胸をときめかせ、せっせと新潮文庫を買い、
とうとうヤツをゲットしたのでありました。
やったあ!
まさにあっちの思う壺だけど、
ふふふ。うれしいなあ。
ちょっと時間わかりにくいのだけど、
おもしろいから毎日愛用しております。
さて、それで今回のナツメ特集。
夏目漱石って、
みんなどんなイメージをもっているんだろう?
お札になってたり、
文豪!だなんてタイソウな呼ばれかたをしているし、
重苦しく、難しく、かたいイメージだろうか?
でも、わたしは、なんだかそうではないんだなあ。
失礼な話だが、「親戚のおじちゃん」みたいな感じだ。
きっと、だれでもそうだろうと思うのだけれど、
好きな作家がいて、
その人の本を読み続けていると、
それがたとえ日記だったりエッセイだったりじゃなくても、
その作家の考えているいろんなこと、
心配事や、気に留めていること、
なにが頭にきて、なにに弱いのか、
なにを大切とおもっているかなんてことが、
だんだんわかってくるのです。
それはやっぱり知らず知らず、
文章にでてしまうんだと思うのです。
そうしてそのうち、
会ったこともないし、とっくの昔に死んでるし、
血のつながりもなけりゃあ、
声さえ聞いたことのない人間を、
ちょっと驚くほど、身近に感じるようになってきます。
へんな話だけれど。
そうやって、日本の文豪を、勝手に!
親戚のおじちゃんくらい身近に感じている私なのですが、
今日は、思わず笑ってしまう、
ちょっとおもしろいナツメ作品をご紹介しようと思います。
「自転車日記」 夏目漱石著
(ちくま文庫 「夏目漱石全集10」\1,000 の一番最後に入っています)
これは、まさにタイトル通り!
ナツメがロンドンに留学していたときに、
あんまり家にばかりこもっているもんだから、
下宿屋の女主人に心配され、
自転車でも乗ったらどうだ?と強引に勧められ、
しかたないから友人に頼んで自転車の乗り方を習い、
一生懸命練習した顛末を書いた話です。
これがねえ。
すごく笑えるのです。
昔の候文(そうろうぶん)で書かれていて、
「なんとかでそうろう」とか、
「なんとかのごとく、なんとかなりけり」
とかってのが古めかしい文が続くんだけど、
それがまたおかしい。
真面目すぎて。
大体、あのヒゲのおじさんが、
必死の形相で自転車習おうっていうんだから、
すでにそれがもう可笑しいんだけどもね。
たとえば・・・
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妙だなと思う間もなく
車はすでに坂の中腹へかかる、
今度は大変な物に出逢った、
女学生が五十人ばかり
行列を整えて向こうからやってくる、
こうなってはいくら女の手前だからと言って
気取る訳にもどうする訳にも行かん、
両手は塞がっている、
腰は曲がっている、
右の足は空を蹴っている、
下りようとしても車の方できかない、
絶体絶命、しようがないから自家独特の曲乗のままで
女軍の傍らをからくも通り抜ける。
ほっと一息つく間もなく
車はすでに坂を下りて平地にあり、
けれども豪も留まる気色がない、
しかのみならず向こうの四つ角に立っている
巡査の方へ向けてどんどん駆けて行く、
気が気でない・・・・
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ほんと気が気でないよ。
まだ乗れないのに、坂なんか下りて・・・。
ナツメさんは、実は落語が大好きで、
子供のころからよく寄席にいっていたそうなんだけど、
この文章もとても落語っぽい。
テンポがよくて、ユーモアがあって、
なんだか人間がかわいらしくて。
この落語な感じがあの有名な、
「我輩は猫である」に続いてゆくのですが、
ちょっと、落語っておもしろそうだなあと
前から興味があるのです。
おもしろそうじゃない?落語って。
なんだか、独特の世界がありそうで。
他人も自分もくっだらなくて、
人間なんてものは、全然タイソウなもんじゃないぜ
って思ってるんだけど、
でも、そのお馬鹿な人間を、
イトオシイと思っているような、
変に人情がある世界。
(こないだテレビでちょっとみたの)
秋だし、ちょっと寄席にでもいってみようかなあ。
そしたら名人みたいのがききたいなあ。
やっぱりそれは名人芸なのかなあ。
ところでいま、名人っているのか?
落語に詳しい人がいたら、ぜひぜひ教えてくださいませ。
それでは。
そのうち、はまって、落語の録音テープとかコレクションしたりするかもしれないさんきちでした。
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