さんきち なぞ図書館
『デッドエンドの思い出』よしもとばなな著
秋だ秋だと、
ここかしこできこえてきますが、
さらに言いたい。
秋だあ〜〜〜〜〜〜〜。
ふふふふふ。しあわせですなあ。
わたしは、秋のはじまりがたぶん一年間で一番テンションがあがります。
春の芽吹く直前のころもすごいんだけれども、
あんまりにもまわりのパワーが強すぎて、
ふらふらしてしまうんですね。
洗濯機の中にほうりこまれたみたいに。
うわあ〜〜た〜〜すけて〜 くるくるくる・・・。
といった感じで。
秋はその点、ひとりでしゃんと立つことができる季節という気がします。
寒くなって、あたまが冴えてくるし。
道端で倒れてると死にますよって季節の
はじまりですからね。
友人の誕生日が9月30日なのですが、
毎年しめしあわせたように、
その直前に金木犀の香りがはじまって、
うらやましいなあと思います。
なんだか「黄金の誕生日」って感じがして。
黄金の光に包まれて、
でもひとりでしゃんと立っている。
今回はそんなような小説をご紹介しましょう。
『デッドエンドの思い出』
よしもとばなな著 文芸春秋 \1,143
よしもとばななの本を読むと、
「なんて暴力的な・・・」と驚くことがあります。
それは、バイオレンス小説とかいうことではなくって、
心の底に無意識のうちに隠していた、
もしくは忘れたことにしていた感情を、
どうしようもない力でひきずりだされるからです。
言葉どおりまさに「ひきずりだされる」。
または、うっすら「こうではないかな?」と感じていたこと、
いろんなものを含んだ微妙なある感じを、
はっきりと明確な「ことば」にしちゃって、
ぽんっと出されるところ。
てめえ・・・出しやがったな。といった感じ・・・。
(はやくもなにを言っているかさっぱりわからなくなってきました。)
この本は、こないだ7月に出た、
まだできたてほやほやの新刊本なのですが、
その広告に、よしもとばなな自身の言葉がつかわれていて、
「 わたしは「デッドエンドの思い出」という小説が、
今までかいた小説のなかで一番すきで、
これを書けたので小説家になってよかったと思いました。 」
とまで書いてありました。
それをみて、ふーんと思って、買って読んでみて、
そして、わたしもこの作品が一番すきだと思いました。
若くて、勢いがあって、ちょっとミーハーな、恋愛のような、おもしろさは消え、
落ち着いてしずかな、やわらかで、豊かな感じがありました。
しかし、デッドエンドの思い出というだけあって、
まさに、きっつい話ばかりなんですね。(心のきつさですが。)
それこそ、暴力的にいろいろひきずりだされて、大変でした。
著者もあとがきで、
パウロズが「おかま」という小説を書いたときに
「あんな痛々しい、不快な、心を引き裂く思い出を、
どうしてあそこまで注意深くまとめあげなければならなかったのだろう」
と思ったことに似て、
この短編集は私にとって「どうして自分は今、
自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?」
と思わされながら書いたものです。
と書いてましたが、そりゃそうだろうなあと思います。
読んでるほうもこれだからなあ。
書くほうはねえ。
出産前に、過去のつらかったことを
全部あわてて清算しようとおもったのではないか・・・
と自分で分析してましたが、
そういう時期のとくべつな何かが
小説に影響しているのかもしれません。
でも、おもしろいのは、
そんなきっつい話ばかりなのに、読み終えたあと残るのは、
「黄金の光につつまれている感」なのです。
もちろん、「きっつい話だったけど、最後はすべてハッピーエンド」
てなわけではぜんぜんなくて、そうじゃなくて・・・
ただ、続いてゆく人生の、あるデッドエンドの思い出を、
主人公と一緒に体験した・・・っていう感じかなあ。
「続いてゆく人生の」ってところが、
この黄金の光感に、関係があるのかもしれません。
さてと。
本のなかに、ふっわふわに積もったイチョウの黄金の落ち葉の中を、
がっさがっさとあるきまわるシーンがあるのです。
イチョウの落ち葉っていつごろだっけ?
ああ、あれ、やりたいなあ。
今年はあれやりに駒沢公園にいこう。
なぞ図書館司書 さんきち
さて、みなさんに、ここでプレゼントのお知らせです。
本日ご紹介の「デッドエンドの思い出」
新しいやつ1冊、プレゼントいたします。
なんでかっていうと、私が本の表紙を家に忘れてきたために、
撮影用に、今本屋で買ってきたから。
ふとっぱらに、送料もこっちもちにしちゃおう!
(ほんとはお金の振込みやらがめんどくさいからなんだけど)
ゆうぱっくだったら600円くらいだよね?
そんじゃあ、ご希望の方は、
ご住所と名前をご記入のうえ、メールをくださいませ。
先着1名様です。
そうだ!サクラメンバーの何人かの手書きのコメント入り!
いらないって?
ふふふ。
そいじゃあね。
さんきち
応募は mail center からさんきち宛にどうぞ。クリック!
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