先中島みゆきも言っている。

時代はまわると。

それは、芸の道にしても、また然りである。

次々と期待の若手芸人が生まれては、ベテランが消えていく。

途中で引退する者もいれば、死ぬまで芸人である者もいるであろう。

近年は特にすばらしい芸人さんが次々と亡くなっている気がする。

1997年に内海好江さんが亡くなったことは、まだ記憶に新しい。

そして、2001年には江戸家猫八さんが亡くなり、あの名芸「ホトトギス」

の声を聞ける事は、二度となくなってしまった。


そして、また先日、夢路いとし喜味こいしのいとしさんが亡くなられた。

大変失礼な話だが、私が彼らを知ったのは、ここ数年の話である。

よくテレビで見かけるようになったのが、ここ数年の気がする。

やはり演芸場まで足を運ぶくらいじゃないと、真のお笑い好きとは言えないのかもしれない。

私もまだまだである。

いとしこいしを初めて見た時、正直「大丈夫か?」と思った。

こんなおじいちゃんに漫才が出来るとは、到底思えなかったのである。

が、とんでもない!!  おもしろかった。

ゆっくりな中にもテンポはあり、絶妙な間が作られていた。

それは、偶然のものではなく、計算され完成されたものだった。

ネタもベタなものなんだろうと偏見を抱いていたが、その予想は裏切られ、笑わされた。

彼は最後まで間違いなく芸人だった。

私が最後に見た芸人としての彼の姿は、元旦の爆笑ヒットパレードだった。

その体と脳に完璧に記憶されているネタと間とテンポは、若手芸人にはない風格を漂わせていた。


いとしさんは78歳だった。

思えば私の祖父 九二三(くにぞう)も今年78歳になるが、ローラーブレードを履いて、

近所をがんがん走り回っている。

どうでもいいが「九二三」って。

親ももう少しひねろうよ。

ちなみに祖母の名前はツナである。

食べ物じゃん。


千田なつみ Presents [ 笑い道]
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