其の八『12人の優しい日本人


やっと夏らしい天気がちらほら出てきました。
今年は水不足の心配はなくても電気不足と米不足に襲われるらしいですが、そんな事は気にせずクーラーの恩恵にあやかり、米を食い続けるファットれいじです。

前置きはさて置き、夏本番!ということで夏らしい映画でも紹介しようかなと思ったのですが、いっぱいあるにはあるんだけど、なかなか「これ!」というのが見つかりません。海が舞台とか、夏がテーマとかありきたりだなぁということで、今回は「暑さ」をテーマに選んでみました。

「12人の優しい日本人」

監督 :中原 俊
脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ
1991年制作

暑そうですね、陪審員室。12人の暑苦しい人たちが、あぁでもないこおでもないと2時間。手に汗は握りませんが、額に汗はしたたります。びっしょりですよ。

「もしも日本に陪審員制度があったら」

実際に裁判員制度が導入されるかもしれない状況となった今、もっともタイムリーな作品ですね。
先見の明があったんでしょうか三谷さん、実に良く出来た脚本だと思います。
まぁもともと舞台でやっていたものなのですが、舞台は90%以上同じ部屋の中。さぞ制作費用は安かったことでしょう。いわずもがなハリウッドの名作「12人の怒れる男たち」をパロディした作品ですが、「優しい〜」は、日本人にとってはより楽しめるものになっています。もちろん「怒れる〜」も文句無しの名作ですが。

キャストもなかなかの個性派そろいで、塩見三省や近藤芳正らと共に、当時まだ無名に近かった豊川悦司も出演しています。実にいい味出してます皆さん。会話のテンポの良さとカットのタイミングも絶妙で、思わずニヤつきながら見てしまいます。「ラジオの時間」で一躍脚光を浴びて、「みんなのいえ」で人気を不動のものにした三谷作品の世界が(これは監督してませんが)いたる所で感じられます。

ところで裁判員制度、どうなんでしょう。一度はやってみたい気もしますが、自分たちが決めた事で人の生死に関わることを決断するなんてことは、とても大それていて実際には尻込みするんだろうなぁ。
なんか調査でも賛成は過半数をわっているそうで、同じような理由を懸念している人が多いみたいですね。まぁガキデカでもない限り自分で「死刑!」なんて気軽に言える人はいないでしょうしね。

とにかく一度、自分が裁判員に選ばれた気分で、汗びっしょりで、どっぷりとハマって観て下さい。とっても面白いですよ。

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