其の3「ジャパニーズ・ビューティー」
前回の終わりに告げた通り、今回はジャパニーズ。和をもって尊しと為す我が日の本の心ってやつについて考えてみるでやんす。
ついに行ってしまいました、新宿の超有名回転寿司「北澤倶楽部」。
いつも長蛇の列を成し、TVチャンピオンだの日本テレビのランキングだのでいつも上位に、時には1位になる有名店。
さぞ旨いのであろう、さぞファットな僕を満たして
くれるのであろうと期待に胸ならず腹を高鳴らして入店。
先ずそのネタのデカさにビックリ。
「なんかステーキみたいな大トロが流れてる!」
「しかも金色の皿に乗ってる!」
そう、その名も『極上本マグロ大トロ』一貫\1400-!!
友人と2人で入ってしまった手前、ファットを自負する私が、
その皿をスルーする事は許されなかったのです。
喰ったねえ、ト・ロ。その後、歯止めの効かなくなった私は
「値段気にして寿司が喰えるか!このベラボウめ!!」と
江戸っ子でもなんでも無いのに、ウニだの伊勢海老だの
アワビだの高い方から片っ端に平らげてやったさ。
一貫だからね、喰えるのよ。
・・・でもね、粋ってのは違う気がするんだ。
ワビ・サビってのはもっと別のところ
にあるはずなんだよね。ネタが大きいだの一貫いくら
だのじゃ無いと思うんだ。
そう、私がこう思うには訳があります。
最近本当の贅沢というのを教えてもらったマンガが
あるんです。決して寿司屋の伝票に愕然として
思った訳では無く・・・・
「おせん」
作:きくち正太 出版:講談社モーニングKC
料理・陶磁器・書に女性。日本において美しく、
儚く、そして粋だとされてきた数々
を、とある料亭の女将を中心にして描く現代ドラマ。
このマンガの良いと思う所は、主人公のおせんさんに
スポットライトを当てるものの、
主観は常に見習い出納係の江崎くん(通称グリコ)
を通じてして描いている点。
そうすることによって、こ難しい粋だのわびだのという
忘れかけている感性を身近にとらえ、
わかりやすくかつ面白く読めるお話になっている。
ぶっちゃけてしまえば、あり得ない程の教養や知識や技術を
兼ね備え、しかも美人で若いというのは実にマンガ的で、
ああ映画やドラマにしたら最低のものに
なるんだろうなという印象はあります。
でもこれはマンガ。アリだと思うんですよね。
許される事だと思います。だってマンガだもの。
そういう点でマンガやアニメって自由度高いと思うんです。
分かりやすく言えば、カメハメ波やネコ型ロボットも
マンガだから出来るんですよね。
ある意味、想像力の及ぶ範囲のものはすべてアリ。
逆に実写でできる事は実写にはかなわない。
マンガだから許される設定というのは、
往々にして揶揄されやすいものですが、だからこそこの媒体で
やっている意味があると思います。
なんか話がズレましたが、そんな設定のスーパーウーマンが、
現代日本で自然体に生きる事を教えてくれる。
そこで思う訳です「これでいいのか?日本人!」とね。
世の中がグローバル化すればするほど、
ネイティブな感情や意識というのは浮き彫りにされていくと
思います。日本人的見地や、
日本人的発想みたいな感じで。ネイティブは
消せないと、だれかも言っておりましたが、消せない
ネイティブについては、責任のもと誇りと共に
受け継がなくては意味をなくしてしまうと思います。
なぜ私の国ではこんなみすぼらしい作りの家や、
ふぞろいのお椀が良いものとされているのか、
その心を持たずしては決して解り得ない事象のすべてを愛し、
誇りを持って受け入れる事・・・
あぁ、日本人で良かった・・・
そう思えたなら、きっとあなたにもわかるはず。