第4回
〜Nothing you can sing that can't be sung〜

こんにちは。ムトーです。
ごめんなさい。大分の紹介は今回もお休みさせてください。

戦争が始まりました。「米・英軍快進撃」というニュースのスーパーに言葉を失いました。「快」って文字に。

僕は戦争反対です。

僕は無神(鬼)論者です。僕個人的には無宗教。ただ、宗教を否定しません。それこそ自由だと思うし、信じていることで少しでも苦しみから解放されるのなら、素敵なことだと思うんです。

ただ、博愛を謳う宗教を信じる人が、なぜ誰かを憎むんでしょうか。
 
この戦争が仮に短期間で終わり、戦争を始めた人の思う通りの結果になったとして、この戦争が「正しかった」という判断をされることを僕は許したくない。正当化できる殺人って無いでしょう?

 
高校の同級生に「哲学」が大好きな人がいました。僕は彼の「考えないひと」を見下すような考えが嫌いでした。「哲学」と「」で囲んだのは彼が「哲学」という言葉を口にするのが好きな人だったからです。

僕が彼のある「哲学」に納得できなくて反論すると、彼は「哲学の本も読んだことないのに、知ったようなこと言うな」って僕に言ったんです。その時、僕は「勝ったな」って思いました。

ただ、今になって彼に負けていたことにも気付きました。それは、彼が「世界中の人が哲学すれば、この世から戦争はなくなる」って言っていたんです。僕は彼が好きじゃなかったこともあり、今思えば愚かですが無条件で、盲目的に彼の「哲学」を否定していたんです。だから、大してそれについて考えてみることもなく、「それはありえない」って僕は言ったんです。ただ漠然と「そんな大きなことができるわけない」っていうイメージだけで。

「絶対戦争が無くなる」なんてことは言えないかもしれない。けれどその可能性はあると思うんです。

僕は20歳の頃に「世界中の人みんなが優しければ、世界中にある問題のほとんどは解決される」という考えにたどり着きました。もう必死こいてやっと。

僕は「優しさって何?」っていう問いに答えることができます。
「思いを巡らせること」です。

人はそれぞれ違う。そのひとにとって何が「幸せ」で何が「不幸」か。

ひとりひとり違うから、定義するのは不可能だと思ってきた。けれど、考えてみれば、「それぞれ違う」ということがみんなの共通点なんですね。

AとBという人がいる。AはBという人に出逢う。AはBという人にとって「何が幸せか」「どうすることが優しいのか」をできる限り考える。そして導き出した答えをBに対してしてあげる。

結果Bにとって、Aが自分に施してくれたことは「幸せ」でないことだった。Bは不愉快で、Aのことを「優しくない」人だと思う。これは実際に往々にしてあること。

けれど、BがAと同じような人、つまり、相手にとって「何が幸せか」「どうすることが優しいのか」をできる限り考える人だったとします。だとしたら、先のAの行為を、不愉快だとか、Aが「優しくない」だとかって考えるでしょうか。ここで大切なのは「できる限り」ということです。どんなに思いを巡らせても他人の幸せを100%分かってあげることなんてできません。でも、「あの人は自分のことを精一杯考えてくれた」って分かれば、その人を「優しくない」なんて思えないでしょう。

むしろ、「優しい」と思うんじゃないかな。

みんな本当に優しかったら、「憎む」なんてことなくなるはず。

戦争なんてそうでしょう。思いを巡らせることが足りないんだ。「できる限り」考えてはいないから、人を殺すことに正義を見い出したりするんです。

「世界中の人が哲学すれば、この世から戦争はなくなる」って高校の頃、同級生が言ったのはこういうことかも知れない。そう思ったんです。

そうか、「そんなことありえない」って言った僕の負けです。

僕の好きな小説家 宮本輝さんの「五千回の生死」っていう短編集の中のある話に「人間はみんなが優しかったら、地球の全部の問題は無くなる」っていうようなことを書いてあったんです、確か。

僕はそれをいつだったか読んで、「ああ、僕、間違ってないかも」って思ったんです。

僕は人に手紙やメールを送るときに、「僕の文章で不愉快な思いをしたら言ってください。あなたを傷つけるつもりは全くないんです。」ってことを先に断ることがよくあるんです。まあ、これは卑怯かもしれないんですけど。

もちろん、これは理想論。僕は理想主義者なんです。いつも理想ばっかり口にする。

偉そうなことを書いているけれど、僕はまだまだ優しくない。相手のことを考えずに傷つける。気付かなかっただけで、ずっと僕が傷つけてきた人もいる。

歯の浮くようなことをいうけれど、最後はね、愛じゃないですか、やっぱり。

All You Need Is Love ですよ。

愛こそ全て。僕は観念というものが嫌いなんです。でもこれは観念じゃない。信念です。

なんつってねー。

最後に、オススメの曲を。中村一義の「永遠なるもの」です。


さて、次回は僕の思い出の街を紹介しますよー。