やあやあ。おひさしぶりでございます。
なぞ図書館です。

今回は、おすすめの鍋をご紹介。
「ピェンロー」という名前の、一風変わった鍋なんだけど、
かんたんで、ほんとにおいしいんだよ。
なぞ図書館、2回目にして脱線か?
ううむ。そうだけど、そうじゃないかな。

「河童のスケッチブック」 妹尾河童著 文春文庫 \619

こないだうちで鍋をやったんです。これが今年の冬、5回目の定番鍋で。
みんなにとても好評だったので、(わたしにも毎回好評ですし)今回はこの鍋をご紹介しますね。


鍋の名前は「ピェンロー」といいます。
「ピェンロー」っていうのは、「素朴な」という意味の中国語だそう。
この鍋、中国の田舎でたべられているものらしいんだけれども、これがほんとうに絶品。
その名のとおり、とても素朴な鍋で、調味料は、塩と、一味唐辛子だけ。あ、ごま油も調味料かな?
そしたら、調味料は、塩と、一味唐辛子と、ごま油だけ。材料は、白菜と、星シイタケ(うそ。干しシイタケ)と、
春雨と、鶏肉と豚肉。味のつけかたと、白菜の煮方にちょっとした工夫がいるんだけれども、それにしたって簡単そうでしょ。
旬の白菜がとろとろに甘くて、ごま油の香りが香ばしくて、一味唐辛子で体がぽかぽかしてきます。

これ食べてるとね、わたしのあたまの中に、窓ガラスが白く曇った家の中で、ほっぺを赤くして、赤い毛糸の帽子かぶって、白菜をふうふう吹いて食べている中国の子供が浮かんでくるんだ。(窓の外は、ほこりっぽくて、死ぬほど寒そうな荒野)なんだかしあわせそうでしょ。この鍋、おかあさんの味ってかんじで、なんだかなつかしい気分になるんだよなあ。

でね、このピェンローを私におしえてくれたのが、(上のほうに書いたけれども)「河童のスケッチブック」という本なのです。河童さんちでも、冬になると、友人たちがわらわら集まってきて、週に3回やったこともあったらしい。でもふしぎと飽きないんだなあと書いてあったけど、ほんとそのとおり。わたしも今年、あと何回かはやるんだろうなあ。
そうそう、うちでピェンロー食べて、つくりかたおしえて!って、夜中に電話してきた方、この本の224ページにつくりかたのってるからね。ちゃんと、白菜の煮方もうまい具合に書いてあるからね。
ぜひご参考に。

さて、鍋の話ばっかりになってしまったけれど、この本、鍋以外もすごくおもしろいんだよ。というよりも、ほんとはね、鍋よりも、本よりも、「河童さん」がおすすめなのです。

河童さんはね、もう、とんでもない男の子で、(いまたぶん60歳くらい)普通の大人がちょっと躊躇するようなようなことに、目をきらきらさせて、おもしろそうに近づいてゆくんだ。奥さんとか娘さんとかは、「勘弁して!」って迷惑そうだけれども。

この本は、そんな河童さんに、手をひっぱられて、いろんなとこにひきまわされるような本です。鍋もそのひとつだったんだけど、他には・・・偽札づくりとか、イタリアの駅弁とか、世界の鍵穴とか、チェスの駒とか、仏壇づくりとか、インドのお弁当箱とかとか。

興味のほこ先も変わってておもしろいんだけどね、なによりこんな大人がいるってことが、相当おもしろいよ。かっこいいというか、笑っちゃう。

そんでは、また!
ばああい。


なぞ図書館司書:さんきち